重さのある物体を動かすとき
必ず正反対の力(作用反作用の法則)が生じます。
太気拳で語られる「気」とは神秘・妄想ではなく
バランスを保とうとした結果で生じる「抵抗感」です。
国手(国家を代表する拳法家)の称号を受けた
王向斉(おうこうさい)が創始した中国拳法・意拳(いけん)。
この拳法を王から学んだ唯一の日本人武術家・澤井健一が
日本で指導を始めたのが、太氣至誠拳法(通称・太気拳)です。
太気拳は、最強と謳われた空手戦士たちとの
引けを取らない技術交流で、実戦的な拳法として注目を集めました。
その特徴は、ボールを抱えるように両手を胸の前に上げ
そのまま立ち続ける【立禅(りつぜん)】という訓練法を稽古の根幹に置くこと。
そして、拳と頭部に防具をつけずに、素手での顔面への攻撃も認める【組手】を行うこと。
今回のDVDは、この太気拳の稽古システム【立禅から組手へのプロセス】を気鋭の指導者・松井欧時朗が意欲的に解説してきます。
大きなポイントは以下の2つ。
1)重力を活用すること
2)正反対の力を生じさせること(作用反作用の法則)
この2つのテーマを具体的な手がかりとして
身体そのものが持つ物理的な重さの力(根源の力)を体の中に作り出していきます。
そして重さの力を維持しながら
【揺(ゆり)】...腕を動かす
【這(はい)】...足を動かす
【練(ねり)】...腕と足を動かす
訓練を徹底的に行うことで
重さの力を全方向に発揮できる、感覚と動きを練り上げます。
さらに、それらの感覚・動きを維持したまま
【推手(すいしゅ)】...触覚(相手と接触する感覚)の訓練
で、相手と対する感覚を丁寧に磨いていき
【組手】...相手に触れてからは、腕に身体を任せて動き続ける(自然な動き)
という太気拳の闘いに、最終的に至っていきます。
以上のように抽象的に語られやすい太気拳の稽古法を
分かりやすい原理と言葉でひとつにまとめ上げた本DVDは
・太気拳の全貌をしっかりと理解したい
という愛好家の方はもちろん
・体の中に生じる変化・力を「思い込みではなく、キチンと把握したい」
と考える武術・スポーツ愛好家の皆さんにも、おススメできる内容となっています。
DVD◎実戦的拳法【太気拳の組手】素面素手・顔面アリで闘う武術の学び方
指導監修◎松井欧時朗 まつい おうじろう
関連書籍◎重力を使う!立禅パワー