映画『叢雲～ゴースト・エージェンシー～』浅井星光／北川貴英／白川竜次／虎牙光揮　特別インタビュー【前編】

〈浅井流鞭拳空手 継承者 浅井星光〉
〈合気道神武錬成塾 道場長 白川竜次〉
〈システマ東京 代表 北川貴英〉
その道の達人たちによる本物のアクション映画がここに誕生！

俳優、アクションコーデネーター、脚本家、演出家のほか、浅井流鞭拳空手継承者として活躍する浅井星光師が主演／プロデューサーを務めた注目アクション映画『叢雲 〜ゴー スト・エージェンシー〜』（製作：テアトルアカデミー×dexi）が、 渋谷 HUMAXシネマ、横浜ブルク 13 、T・ジョイ梅田ほかにて、7月28日（金）より公開！ ※フォーラム仙台でも9月22日から1週間の上映が決定!!

〈あらすじ〉叢雲（むらくも）流鞭拳空手の使い手の凛子は、7年前の刑事時代、連続殺人犯の土蜘蛛に命を狙われるも格闘の末、射殺。だがその際、娘のアゲハを連れ去られる。凛子は刑事を辞職後、行方不明の娘を探すため探偵業に。アゲハの死亡認定日が迫る中、人身売買事件に遭遇した凛子は、監視カメラの映像に娘の姿を見つける……。

主人公・凛子役を演じる浅井師のほか、システマ東京・北川貴英師、合気道神武錬成塾・白川竜次師も主要キャストとして出演。監督は自身もプロボクサーの経歴を持つ原田光規氏、その他共演者にプロボクサーライセンスや空手三段・居合道・抜刀道・ブラジリアン柔術青帯・ボクシングトレーナー・修斗トレーナーなど、俳優にしてリアル武闘家である虎牙光揮氏、黒石高大氏、ANGELLA氏ら、さらには松涛連盟・山口貴史師、習志野青龍窟師、紅ケン師、アシダユウキ氏と、武術経験者がキャストと製作陣に名を連ねる必見のマーシャルアーツエンターテイメント作品。

本作の公開決定を記念し、浅井師、北川師、白川師、そして虎牙氏への特別インタビューの模様を前後編にわたって紹介!!

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幻の企画『ママは空手家』から映画『叢雲～ゴースト・エージェンシー～』へ

──どうして本作で本物の武術家を起用されようと思ったのですか？

浅井　話は長くなってしまうのですが、映画『叢雲』の前の話として、去年（2022年）の8月にクランクインする予定の映画企画があったんです。それが『ママは空手家』という仮タイトルで。『ママは魔法使い』みたいなんですけれども（笑）。本作では「叢雲（むらくも）流」ですが、その時は「遠藤流」という空手流派の話で、実際の私の経歴にリンクしているところもありまして。宗家である父から「お前は女の子だから跡を継がせない」ということで、主人公が海外で護身術のインストラクターをやっている設定だったんです。

遠藤流の宗家である父が病気を患っていたのを隠していて、突然亡くなってしまうのですが、その役を演じる予定だったのがモロ諸岡さんです。父の訃報を聞いて海外から急いで帰国してくると、遠藤流という一派を悪い奴らが乗っ取ろうとしている。もう「昭和テイスト」そのものですよね（笑）。私の娘役もファンマユミが演じる予定でして、映画『叢雲』で北川先生の娘役を演じた竹井咲希も、もう一人の私の娘役として出演予定でした。海外で空手をやっていたんですが、そこから親子３人で戻ってきて、悪い人たちから道場を守って、町の人たちとみんなで強くなるという話があったんです。

ところがコロナ禍で、キャストとスタッフの人たちがどんどん罹患していき、本番１週間前で半分くらいの人たちがコロナになっちゃいまして。元気なのは私とANGELLAだけ、ピンピンしているみたいな（苦笑）。それで一旦撮影は延期になったんですけれども、その後、みんなのスケジュールが合わずに、それでその話はバラシになったんです。

ですが、せっかくファンなんかも何ヶ月も練習をしていたし、今回の映画『叢雲』ではアクションはしていないですけれども、脇知弘君も空手のシーンが結構あって。『叢雲』で脇君の部下をやっていた二人の刑事も、マナミちゃんはコメディチックな間違った酔拳の使い手を演じるはずだったんです。

虎牙　面白いじゃないですか！　俺それ見たい、「ママは空手家」。

浅井　マナミは間違った酔拳をひたすら練習していて、リアクションも鬼のように練習していたりしたんで、もう1回みんなでちゃんと映画を続行させようと。それで知り合いの監督に相談しました。原田光規監督は舞台でずっと一緒にコンビを組んでやらせていただいていて、舞台の演出家として凄腕なんですよ。それが「映像の方に最近行ったよ」との話を聞いて、原田さんに打診したところ、「やろう！ それなら僕と星光さんとでしかできない作品にしたい。星光さん、本当の武術をやろうよ!!」となりまして。だったら「北川（貴英）先生とシステマアクションやりたいですね！」と話が進み、北川先生に声かけたら、北川先生は「それじゃ白川（竜次）先生も誘っちゃおうよ」と。

北川　一人では不安だったから、誰かを巻き込もうと思って（笑）。

白川　北川先生のおかげで私も出演できて（笑）。ご縁をいただき、ありがとうございます。

浅井　それで白川先生にお声がけしたら、「いいですよ！」とおっしゃっていただいて。ただ「セリフはなしね」と。

北川　僕も最初はセリフはなしと聞いていたんですけれども。

白川　セリフはもともと無理だと思っていたんですよ。浅井先生とYouTubeとかでコラボしていたので、「浅井先生とは手が合うな！」と思っていたんです。「投げられ役でもいいので出ますよ」と答えていたんですね。

浅井　それで私が白川先生にガンガン投げられるシーンとかも、本当は作中にあったんです。北川先生と紅ケンさんのガチで当て合っているシーンも実はありまして。撮影編集の都合上カットになってしまいましたが、ガツンガツンとやりあっているのが稽古動画には入っているんです。周りのアクションシーンに出ている人たちはみんな引いていました（笑）。

北川　そうそう。本当に殴り合ったからね。アクションは当てないものというのを覆してやろうと。

浅井　当てる（アクション）流派だ！　それで今回、前企画（『ママは空手家』）から引き継いで出演ＯＫですよと言ってくれた方々と、スタッフさんも、アクション監督の髙橋伸稔さんは私のアクションの師匠でもあるのですが、あの方も“当てる流派”なので、北川先生と白川先生に賛同しているんですよ（笑）。ただお二人は武術家なのでリアルにやると、相手がね……。

本気の現場とアクシデント

白川　そうそう。そこが色々あったんですよ。練習で怪我ではないですけれども、痛みを与えてしまったり。アクションの経験が全然なかったので。

北川　ミッキー（※虎牙光揮氏）が鼻折ちゃたりね。

虎牙　アクシデントはしょうがないよね、本当に。

浅井　ミッキーさんは自分で鼻をグイッと入れて、「血が止まったらいけるから平気！ ごめん、進めといて」と。

虎牙　血が出たとわかったんで、柔道場でしたし、畳汚したらいけないなと。相手も衣装は白だし。とりあえず、寝たまんまでいて。そしたらサトケン（※アクション監督補：佐藤健司）が「いけるの撮っておきます！」ってそのまま進めてくれて。まあまあ時間がなかったんで、そんな怪我している人に時間は割けない（笑）。

浅井　秋山莉奈ちゃんと私が「氷、氷、氷……」と走り回ってる（笑）。

白川　初日から凄かったですよね。びっくりしました。初めての経験だったので、アクションがこんなに大変だとは思いませんでした。

──それだけ過酷なんですね、撮影現場というのは。

白川　やってみてわかりました。撮影のための練習を事前に沢山やって、撮影時間も沢山あって、実際に映画で使われるところは5秒くらい（笑）。厳しかったですね。

虎牙　白川先生の場合は、多分、使われたのはトレーニングした3分の1くらいでしたよね。

浅井　アウトサイダーやBreakingDownでも活躍している黒石高大さんが白川先生と打ち合わせの時に、全部技が極まるんですよね。「先生、先生、折れます！」って。

白川　普段鍛えている人と鍛えていない人の関節って違うんです。特に打撃系の方は関節の可動域が一般人よりも狭いんです。

虎牙　それ、わかります！

白川　関節を固めているから、その分、強い打撃が打てるんです。普段合気道を稽古している人は、関節は柔らかいんですけれども、その分、固められないから打撃が弱いんです。鞭拳とかだったら固めて打つということをしないからいいんですけれども。関節の可動域が狭いと、良い部分は緩みがないから速さが出ますよね。フルコンの人たちってまさにそうで、しなやかさよりも、硬さと速さと強さがある。

浅井　なるほど、だから打撃系の方には極まりすぎちゃうんですね。

スクリーンを彩る武芸者たち

浅井　合気道にしてもシステマにしても本物じゃないですか。それに対する“ボス”をどうしようとなった時に、本当の人を連れてこなければと悩んだんです。そこで原田監督が「奥の手がある！」と。「ラストサムライで友人の、アクション俳優だけどヤツは本物です。本物の武術家というか武闘家、虎牙光揮がいます」と。「あいつは全ジャンルの武術をちゃんとやっているし、若くしてトレーナーとしても才能があって数々の選手を育てているし、自分も選手になろうとしてヤバイこといっぱいやっているから」と。

虎牙　ちょっと待って。それは語弊がある（笑）。

浅井　ミッキーは世界チャンピオンのスパーリングパートナーとかも全部やっているんですよね！　それで出演していただくことになりました。

北川　そういうことだったんですか！

白川　虎牙さんが来た時は雰囲気感じましたよ。「うぉー本物来たよ！」って。

虎牙　僕は最初、北川先生が怖すぎましたよ。YouTubeでいっちゃっている感じだったので（笑）。

浅井　虎牙さんが一番最初の頃、「ちょっと質問いいですか？　僕壊されませんかね!?」って。「北川先生はストライク加減できるんで大丈夫です。ごめんなさい、白川先生はわかりません」とお答えしました（笑）。

白川　幸いにも僕らは戦っていませんよね。むしろ虎牙さんにはいろんなところで演技指導をしていただいていたんですよ。

──虎牙さんからご覧になられて、撮影の現場に武術家が入っているのはどのように感じられましたか？

虎牙　嬉しいです。本当に嬉しくて……。こういうのを待っていた自分がいたというか。やっぱり、本物を知っているアクションスターって特別だと思っているので。だって、ジャッキー・チェンもリー・リンチェイも本物の武術家じゃないですか。ブルース・リー先生ももちろん！

ただ、本物を知っているだけでは、アクションは難しんですよね。リアルだけじゃできない部分があるんですけれども、そこを今回の北川先生、白川先生は、これだけの達人の先生方が「一から教えてください」というスタンスで挑んでくださっていたので、キャラクターも一緒に作り上げていった感じがしました。

いろんな武術家の方々も、アクションにおいては一度は壁に当たると思います。僕も格闘技から入ってきてアクションを始めた時に、今まで通りにやっていてはダメなんだという経験をしました。それでアクションの師匠に弟子入りして、変えていただいた部分もあったので。そこはやっぱり自分でも経験もしているし、いろいろな達人の方が来ていただいた時に、ここを教えるというのはおこがましいですけれども、伝えて吸収していただけたらと思っています。今後、本当に武術家の人たちとアクション映画というものが、どんどん距離が縮まってくれたらいいなと思っています。

白川　『叢雲』では紅ケンさんもそうだし、アシダユウキさんも、習志野青龍窟先生も、これだけ武術関係者が出ている映画もないですよね。

虎牙　習志野先生の無駄遣い（笑）。

浅井　本当はアシダさんと北川先生のバトルもあって、リハーサルしていたんですよ。それも撮影時間の問題でカットになっちゃいまして。

北川　アシダくんと僕だけ、『1%er ワンパーセンター』と『叢雲』、両方出ているんだよ。

浅井　そうすると『1%er ワンパーセンター』にも話をつなげられるじゃないですか。そういう狙いもあったんですよ。

北川　さすがプロデューサー。もうこれからは「ほしP」ですね（笑）。

──映画をきっかけに武道武術に興味を持つ方は本当に多いですよね。

白川　ワンシーンでも「格好良い」と思っていただいたり、「この武術なんだろう？」と興味を持ってもらえたら嬉しいですよね。

──北川先生が影響を受けたアクション映画とかってあるのですか？

北川　僕はアクション映画はこれまでそんなに観ていないんです。ジャッキーチェンとかもあまり観ていないので。ただ、『ダークナイト』とか『バットマン』とか、あっち方面は普通に好き。あとは唯一好きなのは北野武のアクション。来たのをただぶん殴っちゃうのとか。「あー、そうだよね」って、すごい共感できるんです、北野映画には。僕がやりたいのはあーいう感じではあるんです。

浅井＆虎牙　それ、やりましょう！

白川　早いな（笑）、次がもう決まっちゃった!!

【以下、後編に続く】

●ほしみんちゃんねる　【ありがとう】初日舞台挨拶満員御礼★映画むらくも応援
https://youtu.be/C2eMDcnSyg4

●Aikido Shinburenseijuku – 合気道神武錬成塾　【速報】映画 叢雲(むらくも)が満員御礼！初日舞台挨拶＆サプライズ！Yahooニュースにもなりました
https://youtu.be/II2vwQ7XtxA

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『叢雲 ～ゴースト・エージェンシー～』

公式サイト：https://murakumo-movie.com/
公式Twitter：@murakumo_movie
公式Instagram：＠ｍurakumomovie

 

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7月28日（金）より、渋谷HUMAXシネマほか
全国順次公開

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配給：ギグリーボックス
©2023『叢雲 ～ゴースト・エージェンシー～』製作委員会

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◎浅井星光師 関連商品：
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