月刊秘伝2024年4月号
■特集 “浸透する威力”獲得法
長大武器に学ぶ身体革命!!
◎第1部 武壇日本分会 大柳勝
李書文が極めた六合大槍の発勁
◎第2部 葉問派梁相系詠春拳 新部敏
六點半棍が養う“胴体力”
◎第3部 陳氏太極拳 安田洋介
纒絲勁を鍛える春秋大刀の効用
◎第4部 許式意拳・六合八法 許傑華
大杆子を通じた意拳站樁へのアプローチ
◎コラム 尾張貫流槍術 赤羽根大介
二間槍が導く尾張貫流の真価
■巻頭グラ ……
2017年2月5日、パンクラスのリングに登った田村彰敏選手はKO負けを喫し、病院へ搬送される。一見、大事ないとも思われたその裏で、脳に発生していたのは急性硬膜下血腫。生死の境をさまよう事になる。
何とか命は取り留めたものの、半身マヒ、目、耳、言葉の障害が残り、格闘家として活躍した姿が見る影もない状態に至ってしまう。
そんな中、リハビリとして始めたのは絵を描く事だった。「与えられたペンと紙、マヒした右手で純粋に絵を楽しみました。」と語る本人は、実は至って大らかでマイペース。そんな闘病の記録から、格闘人生、自分を支えてくれた人々、大好きなもの、そしてこれから……と、振り返りつつも未来を見やるエッセイを絵とともにまとめたのが本書だ。
格闘家とは、この上なく純粋な人種なのかもしれない。悔しければ純粋に涙を流し、感謝の気持ちにも涙が溢れ出す。そして、田村の闘病の日々には悲壮感はない。悩んでも仕方のない事には悩まず、笑う。
「脳をやられたおかげで余計な事考えられず、悩まずにすんだんですよ」
ある意味飄々とした日々の様子にはクスリとさせられ、時々ハッと、ホロリとさせられるのは田村の純粋な内面をそのまま見せてもらっているかのよう。
格闘技ファンのみならず、あらゆる方に一度は読んでほしい一冊だ。
ある日、田村は蛭子能収の肖像画を描く。
「なぜ蛭子?」と気になった方はぜひご一読を。