1936~2024
昭和11年生まれ、福島県出身。はじめ全日本中国拳法連盟/日本兵法大和道の佐藤金兵衛へ師事し、日本兵法大和道および柳生心眼流兵術を学ぶ。その後、菅野久について真蔭流柔術を学び、全伝を継承。後年には、自宅のある埼玉県に伝わった古流武術の調査・研究を志し、秩父伝気楽流柔術、三神荒木流捕手術などの実伝を得る一方、柔術を中心とした様々な古流武術の記録、保存に尽力した。科学技術翻訳士、行政書士、社会保険労務士などをこなしつつ、「秘伝」誌などを通じて多くの研究発表を手がける。
特に講道館柔道黎明期の事蹟や同時代の多くの柔道・柔術家たちの活躍を掘り起こした業績では評価も高く、前田光世の活躍を描いた夢枕獏の『東天の獅子』製作時には、作者・夢枕の要望から資料提供などのオファーを受け、その模様な「秘伝」2004年7月・8月号の対談「講道館草創期のロマンを追う! 柔術マニアック対談(前・後編)」として記事になっている。また、90年代に刊行された著書『YAWARA 知られざる日本柔術の世界』(BABジャパン刊。現在、絶版)では、近・現代における日本の「YAAWRA」の国内外への広がりについて、多くの柔道・柔術家たちの知られざる活躍を発掘し、当時としては画期的な研究書として多くの武道・武術実践者から愛好家まで幅広く好評を博した。
令和6年4月12日11:30、誤嚥性肺炎のため逝去。享年88。温厚な人柄と真摯な研究態度で知られ、多くの人に惜しまれつつこの世を去られたが、師の果たした業績は、多くの後に続く武術研究者を生み出す大きな原動力となったことは疑いない。