月刊秘伝2026年5月号
■特集 整体の祖・野口晴哉
「枯れぬ身心の教え」
◎第1章 鈴木光彌(宗教法人阿吽阿教団 主管)
「野口晴哉物語」
◎第2章 河野智聖(武医藝 心道)×さえぐさ誠(互道/合気道)
「偉人が遺した武医同術」
◎第3章 日比祥友(野口整体指導室)
「野口整体の愉気と活元運動」
◎第4章 鈴木洋子(たんぽぽヨーガ主宰)
「和ヨーガに活きる整体の知恵」
◎第5章 藤田一照(曹洞宗僧侶)
「整体から学んだ禅の道」
武術における進化とは、それまでに培われた伝統を礎に、時代が求める必要に応じて新たな技術の創造を重ねることの繰り返しだといえます。そしてその歴史の中で、時として突然変異とも言うべき流儀が生まれることもあるでしょう。1980年にスペインの武術家フスト・ディエゲス師によって創始された超近距離型マーシャルアーツ『KEYSI BY JUSTO DIEGUZ(ケイシ バイ フスト ディエゲス)』は、まさにそんな特異的スタイルを持つ、現代における最先端武術の一つです。秘伝誌においては2017年6月号特集で初登場し、大きな反響を呼びました(現在、秘伝アーカイブにて該当記事を無料公開中!)。
その特徴はまず、攻撃においては肘・膝・肩・頭を主要な武器として用いること。そして、防御においては致命傷を避けるために頭部を両手で包んで保護すること。敵は一人ではなく多数であることを基本とし、常に周囲に目を配り、自己の状況把握を徹底します。即興的な対応と周囲の環境を利用することで、ストリートで起こり得る危機を切り抜けるための実践的な感覚を鍛錬してゆくのです。
KEYSIのリアリズムに満ちた考え方と戦闘方法は、エンターテイメントの最前線であるハリウッド映画でも注目されています。クリストファー・ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』三部作のアクションに使用されたことでその名が広まり、『ミッション:インポッシブル3』『アウトロー』など多数の作品でも採用されました。
KEYSIはスペイン語で「自分はできます」という意味で、母親が自信のない子供に「KEYSI(できる)って言いなさい」と投げかける言葉。そして、フスト氏は「KEYSIはスポーツや格闘術ではなく、生き方である」と説き、技術的なことよりも、むしろ精神面の方を重視しています。KEYSIの訓練を通じて、どんなに苦しい時でも自分を信じられる「あきらめない心」を育て、限られた人生の時間を幸福に過ごすことが何よりも大切なのだと。
