月刊秘伝2024年12月号
■特集 力を0化する!!
武術が到達した“柔の極致”
化勁
序章『化勁とは何か』
第1章『化勁の実戦用法』 宮平保(天行健中国武術館)
第2章『合気と化勁を繋ぐ術技』 高瀬道雄×臼井真琴×有満庄司
第3章『推手で磨く化勁の理』 日本武術太極拳連盟
第4章『化勁を錬る一人稽古』 遠藤靖彦(太我会)
■巻頭グラビア
中達也「形稽古の極意指南!」
佐久間錦二「新始動! 佐川合気実験室」
ベンジャミン ……
旧ソ連の国技として開発され、関節技の宝庫として武道・格闘技ファンにもお馴染みの「サンボ」を、日本へ広めた功労者として知られる「ビクトル古賀」こと古賀正一師範が11月3日(土)、御逝去されました。享年83歳。
古賀師範は1935年、旧満州ハイラルで日本人の父とロシア人の母の間に生まれ、太平洋戦争終結時に10歳にして単身、日本へ帰還するという過酷な境遇を体験されました。その後、家族と再会し、東京・ニコライ堂でレスリングを始めると、日大レスリング部で活躍。1970年代にサンボ修行のため旧ソ連へ渡り、各地を転戦して43連勝、すべて一本勝ちという大記録を打ち立てました。ソ連邦功労スポーツマスターなど、数々の称号を受賞され、日本へサンボを本格的に紹介した先駆者として「サンボの帝王」と賞されました。
また、著書も多く、中でも1982年に青春出版社より刊行された『秘密の自己防衛術』は、競技を超えた護身技術としてのサンボの有用性を著したものとして、多くの武道・格闘技ファンに感銘を与えました。また、当時プロレスラーの佐山聡氏(総合格闘技「修斗」創始者)へ関節技を指導するなど、格闘技関係にも広く知られ、慕われていました。
本誌「月刊秘伝」においては2010年8月号において、平直行氏、萩原幸之助氏など師範の指導を受けられた方々を通じて、柳生心眼流の島津兼治師範(弊誌編集顧問)と対談。貴重な技術論を展開していただきました。
顧問を務めていらっしゃいました一般社団法人日本サンボ連盟の発表では、通夜、葬儀・告別式は近親者のみにて執り行われるとのことです。生前の御厚情を感謝し、ここに謹んで御冥福をお祈り申し上げます。