月刊秘伝2024年12月号
■特集 力を0化する!!
武術が到達した“柔の極致”
化勁
序章『化勁とは何か』
第1章『化勁の実戦用法』 宮平保(天行健中国武術館)
第2章『合気と化勁を繋ぐ術技』 高瀬道雄×臼井真琴×有満庄司
第3章『推手で磨く化勁の理』 日本武術太極拳連盟
第4章『化勁を錬る一人稽古』 遠藤靖彦(太我会)
■巻頭グラビア
中達也「形稽古の極意指南!」
佐久間錦二「新始動! 佐川合気実験室」
ベンジャミン ……
──2015年の『イップ・マン 継承』で演じたチョン・ティンチ役が今回、主人公になりましたね。
「チョン・ティンチというキャラクターが多くの人に愛されたからだと思う。その役で再び映画に呼ばれたことは、この上なく光栄だ。前回のティンチに比べて、今回は息子や友人との人間ドラマ、戦う敵との関係など多面的なストーリーが展開するので、ティンチの性格や生き方を表現できたと思うな」
──「戦う敵」として、国際的キャストが集まりました。彼らの印象を聞かせてください。あなたは『グリーン・デスティニー』で、その中の一人、ミシェル・ヨーのスタントダブルも務めています。
「トニー・ジャーとは2回目の共演なので、アクション場面でのおたがいの呼吸がわかっていた。だから遠慮なく自分の技で応酬できたよ。ミシェル・ヨーは久しぶりにカンフー・アクションに戻ってきてくれて感謝の気持ちしかない。現場での彼女は前向きで精力的だった。いちばん大変だったのは、デイヴ・バウティスタとの戦いで、肉体のサイズが違うし、何度も投げられてバーのカウンターやテーブルに激しくぶつけられたね」
──ユエン・ウーピン監督の現場ということで、何か特別なことは?
「これまでのウーピン監督との仕事で、僕の役割はメインではなかった。でも今回は最初から最後まで戦いの見せ場があって満足だ。自分の出番がなくても現場に立ち会い、ウーピン監督と一緒にアクションのアイデアを考え、研究を続けたりしたよ。ただ撮影中は主役としてプレッシャーも大きかった。完成したときの観客の反応が気になって仕方なかったんだ」
──あなたの子供時代のヒーローは?
「少年時代に『少林寺』を観て、ジェット・リーにあこがれた。でも別の映画を観ると、そのヒーローが好きになるなど目移りしていたのも事実だよ」
──チョン・ティンチが主人公の映画を作ることは、『イップ・マン 継承』の際に想定していたのですか?
「いや、そういうわけではない。『イップ・マン 継承』が完成して、みんなで観ていたときに、どこからともなく『チョン・ティンチでもう一本、映画ができるんじゃないか』という声が出た。詠春拳を捨てたティンチの運命は劇的にもなるし、彼には正義の面と屈折した面があるので、主人公のキャラクターにふさわしいんだ」
──マックス・チャンはあなたの下でキャリアを積んできました。他のアクションスターとの違いは何でしょう。
「『グリーン・デスティニー』でミシェル・ヨーやチャン・ツィイーのスタントを任せた頃から、マックスのアクションは美しく魅力的だった。その後、中国のTVドラマに出演していた時代も私は彼の活動を見守り、演技の成長を確認していたんだ。マックスには、ジャッキー・チェン、ジェット・リー、ドニー・イェンとも違う、アクションスターの個性がある。カンフーの動きは細かい部分まで超一流。しかも現代的で自分のスタイルがあるんだよ」
──チョン・ティンチには、さまざまな状況でアクションの見せ場があります。最も大変だったシーンは?
「高さ20メートルくらいの位置に取り付けた看板でのシーンだ。チョン・ティンチと敵が看板から看板へ跳び移るなど、本当に危険な動きがいっぱいあったね」
──イップ・マンは、あなたにとってどんな存在でしたか?
「子供時代は知らなかったが、20代になっていろいろな映画を観て、イップ・マンや詠春拳の思想を知った。香港の人にとって詠春拳のイメージは表面的なので、こうして映画で詠春拳の深い部分や、イップ・マンへの尊敬の念を伝えたいと思ってる」
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