月刊秘伝2024年12月号
■特集 力を0化する!!
武術が到達した“柔の極致”
化勁
序章『化勁とは何か』
第1章『化勁の実戦用法』 宮平保(天行健中国武術館)
第2章『合気と化勁を繋ぐ術技』 高瀬道雄×臼井真琴×有満庄司
第3章『推手で磨く化勁の理』 日本武術太極拳連盟
第4章『化勁を錬る一人稽古』 遠藤靖彦(太我会)
■巻頭グラビア
中達也「形稽古の極意指南!」
佐久間錦二「新始動! 佐川合気実験室」
ベンジャミン ……
古武術の身体運用を参考にした「古武術介護」が大きな反響を呼んでいる理学療法士の岡田慎一郎氏の新作DVD『古武術式 立つ、座る、歩く あたりまえなカラダの使い方2』が昨年末発売されました!
好評発売中の前作『小さな動きで最大限の力を発揮する 古武術式あたりまえなからだの使い方』に引き続き、本作でも「立つ、座る、寝る、歩く」といった日常動作を古武術式に見直すことによって驚くほど身体は効率的に、力強く動くようになるトレーニングの数々を紹介しています。
〝日常動作こそ、もっとも多くの時間を割ける最高の稽古場ではないか〟
そう提唱する岡田氏に、多くの異分野の方々と交流する中から掴み取った普遍的身体の理について、『月刊秘伝』2015年1月号にて語っていただきました。
(以下、一部抜粋)
伝統芸能などで、「脚で歩くな、腰で歩け」という教えを聞いたことがある。ただ、それはかなりハイレベルなことであり、実感ができるまでは相当な努力を要するものだというのは朧げながら感じるところだろう。
ただ、そのものではないが、それに近い状況ならば比較的容易に体感が可能である。それは〝重心を捉えて歩く、走る〟ということを補助してもらうことで、誰もが取り組める。
まずは、歩く際に、「腰で歩く」イメージそのままで腰に手を添えて押してもらう。すると、押されているものの、今ひとつ足取りは重い。それは、皮肉にも腰が残ってしまっている状態と言える。そこで、押す位置を下げ、臀部の中央の仙骨に手を添えて押してみる。すると、骨盤が移動した後から、脚が自然とついてくるような感覚に切り替わる。つまり、〝重心の移動が起こった結果として、脚が動いてくる〟脚力に頼らない歩行が引き出されたわけである。この感覚が、「脚で歩くな、腰で歩け」の感覚に近いのではと思える。
この実験はそのまま、介護的な歩行介助にも転用できる。そして、階段を上るときなどには、下から仙骨を押すようにすると、足取りも軽くなり、足がでやすくなる。また技術ではないが、腰が曲がった高齢者は仙骨のあたりに腕を回して、手を組みバランスを取りつつ、重心の移動を促し歩行するということを、誰に教えられた訳でなく、自然と行っている。
もちろん、健常者でもディバッグを背負った時にはその感覚が味わえる。ディバッグの底の重さがちょうど仙骨に当たっているため、その重さに押されるように歩行をする。ただ、力んでしまうと、ディバッグの底の重さが振り子のように振れてくる動きを止めてしまい、重心の移動そのものが起こらなくなってしまう。あくまでもリラックスで、仙骨が押されている感覚をしっかり捉え、歩きに反映させたい。
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興味を持たれた方はぜひ本記事をご覧下さい!
『月刊秘伝』2015年1月号記事52頁〜