月刊秘伝2025年4月号
■特集 “一撃粉砕”を実現する、鋼の拳足獲得への想い
人体の武器化とその必然
試割る鍛錬
◎第1章 岡崎寛人 (極真館)
「試し割り」の中に空手の原点を見る!
◎第2章 空手道尚武会
“試割りの達人”藤本貞治が示した鍛錬の精華
◎第3章 朴禎賢 (テコンドー・ファラン朴武館)
テコンドー 技の威力への矜持
◎第4章 上地流空手道振興会修武館
「試割り」は攻撃のみならず 上地流空手“キタエの矜持”
……
本DVDは富樫宜弘総帥率いる梁山泊空手独自の技術を紹介したものであり、テーマは「タメ」だ。
例えば、シンプルな「追い突き」も、足から腰から体幹から、全部をダイナミックに使う。筋肉は縮める前に伸ばす事によって大きな力を合理的に出す事ができるが、この伸ばしこそが「タメ」だ。
突く手をその直前に柔らかく大きく引く。これによって体幹がダイナミックに稼働するようになり、大きな威力を生み出すようになる。一見、動きが大きくなるので「相手に読まれやすくなる」懸念から忌避されやすい操作だろうが、これこそが、最大の威力を生み出すために、まず体に思え込まさなければならない操作なのだ。最初から読まれにくい、早く小さい動きから始めて威力を高めていこうとしても、なかなか思うようにいかない。それは、稼働すべき部位が最初から働かないままだからだ。
最大稼働を体が覚えてしまえば、それを小さくシャープにしていく事は比較的容易い。この「最初に"最大稼働"を体に覚えこませる」という原理を、梁山泊空手は大切にしている。
梁山泊空手は「一打必倒」を掲げているが、ともすればこれを絵空事と感じる方が多いかもしれない。しかしこのDVDを見れば、それが一挙に現実味を帯びてくる。これは本来の空手の姿なのではないだろうか。
巻末には、富樫龍一師範による実戦レベルに昇華された動きが示されているが、これが圧巻。最小限の動きに見える連打が、サンドバッグを宙に浮かせ続けるほど。「タメ」を利した体動がここまでシャープに威力あるものになるのかと驚かされる。
梁山泊独自の技術ではありながら、ここに伝えられているのは「原理」であり、稽古法は誰にも応用がきくだろう。突きの他にも蹴りやステップワーク、防御なども含むバランスの良いコンテンツで、ぜひとも参考にしたい一本だ。
DVD『空手革命─振り抜く拳"タメ"で突く!』
指導監修◎富樫宜弘
紹介動画◎梁山泊空手・富樫宜弘総帥 一撃打倒を目指す!最大威力を生み出す"タメ"の養成
関連作品◎書籍『柔らかい空手』