古流武術における当代きっての達人にして、本誌『月刊秘伝』の看板的な存在でもあられた振武舘第15代宗家・黒田鉄山師範が、去る3月3日(日)21時9分に御逝去されました。享年73。
黒田師範は1950年生まれ。黒田繁樹師範の長男として生を受け、祖父・泰治師範の号「鉄心斎」や曾祖父・正郡師範の幼名「鉄之助」などから「鉄山」と名付けられる。19歳のときに大日本武徳会より教士号を、20歳で古武道八段範士の称号を受け、1980年代後半より、「武術的身体の獲得」を根本に置く型稽古の本質的な追求を続け、流儀としては、駒川改心流剣術、四心多久間四代見日流柔術、民弥流居合術のほか、椿木小天狗流棒術、誠玉小栗流殺活術の五流儀を宗家として伝えた。
その卓抜した術技は「神速」と称えられ、日本国内だけでなく海外においても非常に高い評価を受け、アメリカやヨーロッパなど世界各国から招聘されて指導に赴く。また、2021年にはNHK『明鏡止水 〜武のKAMIWAZA〜』にゲスト出演。岡田准一氏や日野晃師範、中達也師範らとも共演し、特に中師範とは『月刊秘伝2022年2月号』にてコラボ特集も行う。2022年5月、突然の病により長期療養の身となり、翌年5月、御子息である黒田泰正師範に振武舘の後継を託した。
『月刊秘伝』においては、長年にわたって連載「鉄山に訊け」をご執筆いただいた他、数多くの特集記事やDVD作品、さらにBUDO JAPANチャンネルの動画にもご登場いただきました。ここに長年の御厚情に感謝すると共に、謹んで御冥福をお祈り申し上げます。
※黒田鉄山師範の生涯の軌跡と遺された偉大な功績を今一度振り返るべく、本誌近刊にて追悼特集を予定しています。