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「武道ツーリズム」研究発表会@金沢 開催!

第四回スポーツツーリズムコンベンション「武道ツーリズム分科会」
そこで語られた”世界から人々を引きつける日本武道の魅力”とは!?

レポートby 福岡雅巳

2020年1月16日、金沢で開催された第四回スポーツツーリズムコンベンションにおいて「武道ツーリズム」の研究発表会が、ツーリズム産業や地域振興に従事する一般の人々に向けて初めて行われた。

田口雅紀スポーツ庁参事官付専門官をコーディネーターに、秘伝誌でもお馴染みのJapanologist山梨学院大学William Reed教授、沖縄県で空手ツーリズム事業を行うAgeshio Japan社古田桂一取締役、居合神社を有する山形県から、サムライ体験ツアーを実施する村山市商工観光課田中昭広課長らがパネリストとして参加。日本文化として武道が外国人にどう映っているか、実際に武道ツーリズムを実施してわかったことなどを発表いただいた。

我が国の武道へ海外からの関心が高まっていることは、外国人たちの入門者が増加したり、演武会場での外国人観衆の多さという現象などから、特に古武道の世界に身を置く読者の皆様の多くが知るところであろう。
今回の研究発表会では、生身の人との関係が疎遠になっていくIT社会だからこそ、武道が持つ人の道の哲学や、都市部の生活者が持つ神秘性への憧れと癒やしなどが、世界から人々を引きつける日本武道の魅力であることが、William Reed教授により語られた。
すでに実施された事例からは、世界の武道ファンが、プログラム体験によって、より一層深く日本文化を理解するとともに、貴重なツーリズム体験となった様子を知ることができた。

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武道ツーリズム研究発表の様子

スポーツ庁が推進する「武道ツーリズム」は、東京オリンピック&パラリンピックを機会に日本が持つ強力なコンテンツ「武道・武術」をアピールし、来年以後も継続して海外観光客を国内に呼び寄せる流れを継続させようという戦略だ。

大都市集中であった訪日(インバウンド)観光は、次第に目的地が地方に拡散し、かつ、地域の人々に触れて体験するツーリズムへと変わりつつある。有名観光地に集中した団体観光客を相手にした「量を捌く」型から、「文化を体験する」という少人数旅行者型の、品質を重視した「着地型観光」に変わりつつある。
この変革に対応するためにも、観光庁だけではなく文化庁・スポーツ庁が複合した対応を行い、ひいては地域振興、地域活性化、さらには日本の武道文化の保存と振興に結びつけようという構想なのだ。

武道関係者にとっては「観光」という視点はなじみがないことと思われる。「武道ツーリズム」では、武術・武道が地域の魅力を支える一要素としてアピールされるものになるという位置づけなのだ。今後はプロモーションビデオをはじめとした様々な媒体で「日本伝統武道」がアピールされていくであろう。
また、日本文化を理解して、外国語対応ができる人材の確保や育成、地域に存在する「武道ツーリズム」観光遺産の発掘と整理といった課題も浮かび上がってくることが予想される。

今回の研究発表会を見学した者として、また自ら武道に携わる一員としても、「武道ツーリズム」が武道武術界にとって、外国人へのアピールと同時に一般人たちにもより武道の魅力を認識させられる絶好の機会となるであろうと感じたことを、ここに記しておきたい。なお、武道武術の専門誌月刊「秘伝」を刊行するBABジャパンも、スポーツ庁が主催する関連会議にオブザーバーとして参加している。秘伝誌は今後も積極的に、「武道ツーリズム」に関する情報発信、活動に力を入れていくとのことなので、武道関係者にとっては何より心強いことだろう。ぜひ多くの方々の関心と参加が本活動に集まることを祈願しています。

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前日同会場で行われた「スポーツ文化ツーリズムシンポジウム」で「武道ツーリズム」をアピールするスポーツ庁瀧本寛次長


参考サイト:スポーツ庁Web広報マガジン「DEPORTARE」

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