月刊秘伝2024年12月号
■特集 力を0化する!!
武術が到達した“柔の極致”
化勁
序章『化勁とは何か』
第1章『化勁の実戦用法』 宮平保(天行健中国武術館)
第2章『合気と化勁を繋ぐ術技』 高瀬道雄×臼井真琴×有満庄司
第3章『推手で磨く化勁の理』 日本武術太極拳連盟
第4章『化勁を錬る一人稽古』 遠藤靖彦(太我会)
■巻頭グラビア
中達也「形稽古の極意指南!」
佐久間錦二「新始動! 佐川合気実験室」
ベンジャミン ……
引退した身と思いきや、「巌流島」で菊野克紀選手と戦ってみせて世間を騒がせた平直行氏の考案による、最新・身体メソッドがこれだ。「骨絡調整術」「筋絡調整術」と発表してきた後の今回は「皮絡(ひらく)調整術」。 "皮膚刺激"を利用し、そこへの身体反応を起こさせる、ゆえになんと"0秒"で体が改善されるという。
運動を起こしている司令系統には、実は2つある。意識的に「動かそう」と指令を走らせる系統に隠れて、意外に見落とされているのが無意識下の指令系統だ。
考えてみると、人間の動作というものは、むしろ無意識下の司令系統に支配されてのものの方が断然多い事に気付く。歩くために赤ん坊の頃は苦労していても、やがて人は「右足を出して、次に左足を出して...」などという意識的司令を発しなくなるのだ。
熱いものに触れると手を引っ込める「反射」は無意識領域の運動の代表格だが、これらの司令系統は皮膚からの情報を受け、それに対する反応として行なわれている。初めて歩く、しかも脳が認識しきれないような複雑なでこぼこ道でも、バランスを崩さず歩けるのはこのシステムが働いているからなのだが、現代のように平らな道ばかり、のような刺激のない環境になれてしまうと、この無意識下の指令系統が劣化してしまっている。
これを活性化させるのは実は簡単。敏感な部分に皮膚刺激を与えてやればいいのだ。
この効果は絶大で、例えば開脚前屈などのような事をやる上で、ビー玉を持って掌に刺激を与えながら行なうと、今まで動かなかった部分が動き出すため、より深く体が倒せるようになる。誰でも簡単に試せる事なので、ぜひ一度やってみていただきたい。皮膚刺激を与える方法にはいくつかあり、例えば人工芝を足裏の下に敷くと、その刺激から股関節の可動が良くなり、足が高く上がるようになる。
体がより動くようになるもののみならず、力が増すエクササイズ、指だけのほんのわずかな操作で体全体を変えてしまうものなど、さまざまに活かしたくなる実例が満載!
よりよい身体のパフォーマンスを実現したい人も、不調を改善したい人も必読の1冊。
現代人の身体は、ここを通過して初めてスタートラインに立てるのかもしれない。
書籍『皮絡調整術と無意識領域の運動
触れるだけでカラダの奥が動き出す!』
平直行 著