日本の諸武術が大きく変革することを求められた、近世から近代への急速な変換期。そんな時代を背景に、武田惣角という稀代の達人によって日本各地へ伝えられた「大東流合気柔術」。
ときに〝日本柔術が最後に辿り着いた未曾有の術理〟とも見做される〝合気〟だが、そんな鮮烈な印象を抱かせるにたる、不可思議にして絶大なる威力と精妙さを体現して見せたのが、惣角の愛弟子の一人であった堀川幸道によって伝えられた系統であった。
相手との接触点を通じて瞬時に相手を「無力化」し、意のままにコントロールして見せる、その柔らかな妙技は、あたかも相手が張り付いたかのように自由を奪われ、ときには術者が手を離してなお、しばらくは硬直したままの姿を晒してしまう。
それが、ただ堀川幸道という達人だけに成し得たものでなく、世代を越えて連綿と体現されていくことに、「技術」としての確かさを垣間見せるのである。 そこには一体、何があるのか?
堀川幸道から井上祐助師範、新保建雄師範を経て伝わった〝合気〟の系譜を受け継ぐ、大東流合氣柔術 幸心会・野本禎師範(本部長 免許皆伝)が今回、未だその多くがベールに包まれていた堀川伝大東流の〝合気〟への門戸を初めて開く緊急特集。全ては未来へとつなぐ〝合気〟の為に!