これまで、空手術理の定説では、「首里手・泊手」は遠間から飛び込み、「那覇手」は近間で威力を発揮するといわれてきた。
しかし、この説は実態に合っているのか? その答えに迫ったのが本書である。
著者の佐藤哲治師範は、那覇手(剛柔流)の久場良男師に師事しながら、同門の筆頭師範で首里手・泊手にも精通する新城孝弘師からも教えを受けている。
その過程で至った結論が「いずれも接近戦に通じる」ということだった。実戦を想定すれば、必然的にそうなるともいえる。
本書では、首里手・泊手における伝説の実戦名人・本部
朝基のナイハンチを読み解き、実は接近戦のための術理を示していることを解明した。冒頭の入り身からの目打ち、引き崩しての鈎突きなど、まさに接近戦で相手を制する術理が凝縮している。
接近戦術には取手(柔術技法)も豊富に出てくるため、合気道や柔術を学ぶ方にも多くのヒントが得られるだろう。