国宝青井阿蘇神社に奉納されてきた御神刀・奉納刀剣が、令和2年7月の未曾有の大洪水により水没。熊本県人吉市および球磨郡を700年間守ってきた侍たちが使っていた77本の刀すべてが被災し、錆び付いてしまったという。平安時代から続く当地の歴史と宝物が途絶える存続の危機にあたり、国宝青井阿蘇神社は1200年以上続く歴史を次の1000年に繋ぐため、「水没奉納刀 1000年先まで遺すプロジェクト」を立ち上げた。
青井阿蘇神社・福川義文 宮司によると、当地は鎌倉時代初期から明治維新に至るまでおよそ700年間武家の相良氏による一元的な支配がなされた地域であり、平安時代初期の大同元年(806年)に創建された青井阿蘇神社は、この相良氏の庇護を受け、1200年を超える歴史を重ねてきたという。平成20年には青井阿蘇神社の本殿以下5棟の歴史的建造物が国宝に指定され、人吉球磨の観光にも寄与する存在となってきたところであった。ところが、新型コロナウィルス流行により甚大な経済的なダメージを受けていたところに加え、この度の未曾有の大洪水による被災により、青井阿蘇神社の長い歴史の時々に祈りと感謝をもって奉納されてきた77本の御神刀・奉納刀のすべてが水没してしまったという。
被災直後、450年前より人吉球磨に伝わる古伝剣術兵法タイ捨流龍泉館・山本隆博館長、上原エリ子宗家をはじめとする一門の方々が尽力し救出を試みるも、すでに刀身には錆が発生し、拵や白鞘は損なわれて痛々しい姿となっていたという。
そこで青井阿蘇神社は、兵法タイ捨流一門の方々や、作刀家・研ぎ師の方々の協力を得て、水没奉納刀を救済するプロジェクトを8月13日12時よりCAMPFIREで開始。クラウドファンディングを募集したところ、すぐに多数の支援者を得て、当初目標としていた金額5,000,000万円にすぐに到達。現在も復興にかかると予想される30,000,000円を目指して、引き続き支援の募集を行っているという(8月17日現在、支援総額20,000,000円超)。
クラウドファンディングのリターンには、
◉「白鞘墨書き」
支援者全ての方々の名前を、新調する白鞘に墨書き。こちらの墨書きは、奉納刀の休め鞘として未来永劫、御刀と共に在る。墨書きには、大・中・小の3種類を準備されている。※5,000円〜(小)、10,000円~(小)、30,000円~(中)、50,000円~(大)、100,000円(大)〜
◉「1000年チケット」
支援者全ての方々に、復興後開催予定「水没奉納刀展(仮)」の拝観チケットを送付。有効期限は2023~3023年とし、1000年先のご子孫様方でも期限内であれば何度でも使用可能。
が用意され、
また2万5千円からの支援では、マンガ「ドリフターズ」において、主人公の島津豊久公が人吉球磨に450年前より伝わる古流剣術・兵法タイ捨流の使い手であるという縁から、この度作者の平野耕太氏および少年画報社の協力を得て、人吉球磨の伝統文化を世界に広げるべく活動をされている「侍う実行委員会」とのコラボレーションにより、下記の品々も用意されている。
◉「タイ捨流×ドリフターズ 本染めてぬぐい」※「Taisharyu×Drifters」の本染めてぬぐい
◉「お豊鐔」※島津豊久をイメージして製作された鍔
◉「首置いてけ刀」※島津豊久をイメージして製作されたペーパーナイフ
◉「平野耕太先生描きおろし 和紙複製画」※平野耕太氏が、人吉球磨の槻木和紙へ描きおろし
なお、リターンについては金額によって変わってくるので、詳細は下記のプロジェクトページを確認いただきたい。
日本人の魂である刀剣の数々。ご先祖様が伝え残してきた宝を1000年先の子孫たちへと繋ぐべく、本誌読者の皆様へもぜひ本プロジェクトの存在について知っていただきたい。
最後に、本プロジェクトの担当を務める兵法タイ捨流龍泉館・山本隆博館長よりいただいたコメントを下記に紹介したい。
「去る7月4日、九州豪雨により当流地元・発祥の地である人吉球磨が被災しました。
災害発生からひと月以上が経ちますが、復旧にはまだまだ時間を要し、人々の疲弊もピークに達しております。
そこで、人吉球磨のシンボルでもあり心の拠り所でもある国宝青井阿蘇神社、水没した御神刀・奉納刀を救う為のプロジェクトを開始致しました。この77振の御刀は、何百年にも渡り相良の地を守り続けてきた侍やタイ捨の先師たちが奉納したものです。青井阿蘇神社1200年の歴史を次の1000年に繋ぐため、皆様のご支援ご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます」(山本隆博)
国宝青井阿蘇神社 水没奉納刀 1000年先まで遺すプロジェクト(Twitter:@aoisan_okatana)
CAMPFIRE「国宝 青井阿蘇神社 水没奉納刀 1000年先まで遺すプロジェクト」