沖縄の武術は空手と武器術からなる。武器術――琉球古武術――は、棒、釵、トンファー、ヌンチャク、鎌、鉄甲、ティンベー、スルジンなどの武器を用いて、その技術を修める。それらの武器と武器術は、源流には中国などの影響を受けつつ、琉球という地で土着の文化に融合されながら形づくられ、発展してきた。今特集では、琉球古武術の技を今に伝える各会派に、様々な武器術の術理を示してもらった。琉球古武術に見る、武士(ブサー)たちの戦闘術と修練法をお届けする。
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。
特集序章では、琉球における武術が、歴史的に日本や中国にどのように影響を 受けたのかについて、また琉球古武術の武器のルーツを明らかにしていこう。 農具や生活に密着した道具から派生したとも言われる古武術の武器と、 中国の武器との共通点、または相違点を、トンファーやヌンチャク、 ティンベーとローチンなど、それぞれの武器ごとに紐解いていく。
本土における琉球古武術の普及、発展の中心を担った平信賢師範と、その術理を修め、各武器の技術体系を編制確立させた井上元勝師範。現在は、井上貴勝師範がその使命を引き継ぎ、琉球古武術の指導を行っている。特集第一章では、平信賢師範から伝わる棒や釵、トンファー、さらにはスルジンなどの武器術の要諦を、井上貴勝師範に示していただいた。どんな道具も使えると同時に道具に頼らない、無手の技術に通底する理合が明らかになる。
沖縄在住の空手家にしてセラピスト(治療家)でもあるダニエル・マードン氏が、現地の道場を訪問し、沖縄空手のスピリットを探究する先号始動の注目連載! 特集第二章では、その特別編として琉球古武道保存会総本部を訪れ、琉球古武道と沖縄上地流の大家・金城政和会長に直撃インタビューを敢行した!
琉球古武道を、その組手試合を行うことで実戦的に追求している会派がある。上地流空手と琉球古武道を併せて指導している琉成會である。武器を用いた組手の競技化は、実戦の中での技術を磨いていくことに 大きな効果があるとともに、型稽古へのフィードバックも生み出しているという。琉球古武道の競技化の実現のために中心的役割を果たした琉成會関東本部長・漢那安教師範に、琉球古武道の組手試合に対する思いと、その成果、そして今後に向けた大志を聞かせてもらった。
沖縄の武術――それは、日中の武術が行き交い、融合する中から沖縄独自の風土に育まれて生まれた未曾有の武的文化遺産と言える。特集第四章では、かつての琉球王国時代より武に長け、この沖縄独特のチャンプルー文化を如実に感じさせる中国色の強い各種武器術も伝承する金硬流唐手・沖縄古武術を伝えた又吉家の伝来武器術を、本土で長年、同流を教授している早坂義文師範にお聞きした。
「沖縄空手と(琉球)古武道は車の両輪である」と言われる。特集最終章では、空手と琉球古武道の体捌き、術理は不離一体であることを、琉球古武道普及会を主宰する祖父江利久師範に示してもらった。棒術における左右の手の用い方は、左右の手を連動させる夫婦手の技術に直結している。その根本原理は、釵や鎌など他の武器術においても同じである。空手を学ぶことが古武道の理解を深め、古武道を学ぶことが空手の理解を深めることになる!
現在、各方面で話題沸騰中の今年の大河ドラマ『どうする家康』。その忍者指導を担当しているのが、本誌でもお馴染みの三重大学・山田雄司教授だ。
本作は、まさに“忍者回”となった第5・6回「瀬名奪還作戦」の上ノ郷城攻めをはじめ、大河ドラマ史上かつてない本格的な忍術描写でも大きな反響を巻き起こした。
今回は、山田教授に本作の見所と、忍者たちの迫真の活劇を生んだ舞台裏、そして、名立たる戦国武将たちを影で支えた忍びのリアルを語っていただいた!
光輪洞合氣道創始者、故平井稔翁によって編まれた、日本武道では珍しい一人稽古の型となる「体捌き」。それは、多くの武道に見られるような、攻防の雛形を表す所作の集大成などではなく、動作と精神作用を一致させることで現れる人と人との関係性を誘導、コントロールする技術の一端を示すものだと言える。
平井師範の高弟の一人として、90を越えた齢を重ねつつも研鑽を続ける成田新十郎師範に師事し、現在、独自に研鑽を重ねる白石太志師範は、この「体捌き」をどのように捉え、いかにして上達するか、「中心帰納」というキーワードを元に日々、模索を繰り返している。今回は、その過程の一端を、朋友であり、やはり成田伝合氣道の謎へ迫る『“合気脳”で達人!』著者である押切伸一氏に紐解いていただいた。
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。