リズム、テンポ、タイミング……
一般的にこれらを象徴する「拍子」とは、もともと楽曲で用いられた用語だが、こと古来より武術が高度に発達し、思想・哲学にまで昇華した日本武道において、それは自身と相手との空間的・時間的距離や各々の外観から内面的状態、軌道のタイミング、等々、様々な要素が渾然一体となったモノとして、多くの先達たちによって考察が深められてきている。
今特集では、そんな「拍子」を様々な角度から改めて探ってみた。
果たして、技を成立させる土台であり、動きの根源ともなる「拍子」とは、いかなるものなのか?
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。
生涯で60余度の真剣勝負を行い、ただの一度として破れることのなかったという天下無双の剣豪・宮本武蔵。
そして、武蔵が戦いで最も重要視していたのが「拍子」である。
特集序章では、鎌倉春風館の赤羽根龍夫師範が武蔵の勝利を支え続けた兵法の拍子と、その実戦の極意を解明する!
齢60、同世代として活躍した多くの選手たちが、身体を壊して空手の道を断念し、あるいは他のメソッドを取り入れながら“空手人生の延命”を図る中、愚直に突き蹴りの「一撃必殺性」に
こだわり、今なお成長し続けている空手家、八巻建志師範。
NHK「明鏡止水」出演時には、並み居る一流格闘技選手を含む出演者らの誰もが受けることを躊躇した蹴り技の冴えは、しかし、現役時代のパワー空手を脱却し、新たな境地を歩み出しているという。
そんな八巻師範は「拍子の世界」をどのように捉えているのだろうか!?
戦前~戦後の剣道の命脈と本道を継ぐ名門町道場「尚道館」。
祖父である岡田守弘初代館長(剣道・居合道範士)より幼少の頃から薫陶を受け、剣聖・斎村五郎の剣理を、尚道館現館長として後進に伝えている岡田守正剣道教士八段に、特集本章では「剣道が伝える拍子とは?」について、紙幅の限りに語り示していただいた。
特集、最後を締めくくるのは、日本武術最高峰の術理とも言われる「合気」の拍子。
それも、戦前・戦中の大日本武徳会・合氣道部門の流れを汲み、「母体武道」を標榜して独特の技術体系を持つ「合氣道」を研鑽する合氣道 無元塾の白石太志師範に、「拍子」についてお訊きした。
元・日本光輪会総師範の成田新十郎師範に私淑して、“人の想い(思い)が技に影響する”心法合氣を提唱する白石師範が説く、「拍子」の真相とその活用の仕方とは!?
特集コラムでは、武道と同じく「型=形」によって無形の技法を伝承する、日本の伝統芸能の世界における“「拍子」とは何か?”について、様々な古典資料に詳しい上智大学グリーフケア研究所副所長、京都大学名誉教授の西平直先生にご寄稿いただいた。
キャリア20年という豊富な経験を持つ格闘技実況アナウンサー鍵野泰加彦氏。
実況のプロという特異な視点から見た、武道・武術の魅力とは何か?
さらに、長年にわたる合気道(岩間流)の修練を通じて気付いた開祖が説いた精神性と、自身の溢れんばかりの合気道「愛」を語っていただいた!
“学連絶対王者”帝京大学空手道部。その監督を長きにわたり務め、全日本大学空手道選手権大会「形・組手・団体形」試合において数多の優勝へと導いてきた香川政夫師範(日本空手松涛連盟首席師範)。
近年、空手団体形での演武も増え、注目を集める「燕飛」について、その形と分解、そして“演武秘話”などについて伺った!
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