かつて本誌でも連載していただいた中国武術の実践研究家にしてそのパイオニア、松田隆智師が原作を手掛け、多くの若者に中国武術の魅力を伝えた劇画『拳児』(画:藤原芳秀)。本誌が2017年に行った「最強マンガ大賞」においてもグランプリを獲得したこの伝説的な劇画によって、中国武術に興味を持ち、あるいは自ら実践者となって今や指導的立場として後進を導く人々も少なくない。
そんな『拳児』だが、そこで描かれる中国武術の姿は、松田隆智という原作者個人の経験と研究に基づくことが大半を占め、現在からみれば正確性に欠ける部分も否めないのが現実だ。時代的な制約など、パイオニアゆえの功罪と言えるだろう。
では、そんな〝『拳児』ワールド〟で語られた夢とロマンの中国武術とは、この現代でどのような姿で伝えられ、さらに未来へと手渡されようとしているのか?
『拳児』の核となった達人、李書文の伝えた『八極拳』、強烈な発勁が読者を驚かせた異色の太極拳『太極忽雷架』、そして、これも印象的だった達人、宮宝田が伝えた不可思議な拳法『八卦掌』へ焦点を当て、その現実の姿を今特集では追った。合わせて、近年、作画の藤原芳秀先生によって新たに始動した『拳児2』の近況から、幻の読切短編『皇帝武師』についてインタビューをさせていただいた。
『拳児』を通じて垣間見た中国武術の夢とロマン、その道は今なお、延々と続いていることを、今特集で確認していただきたい──。
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。
特集序章では、劇画『拳児』がどのようにして生み出され、何を残したのか?
本邦中国武術史に一石を投じた、その意味合いについて検証してみたい。
肘部を多用した打法、大音響と共に地面を踏み鳴らす震脚、そして豪快かつ強力な力を生み出す発勁──。
『拳児』原作者、松田隆智師が生涯をかけて探求し、自らの研鑽の成果を作品に反映させることで、多くの読者へその魅力が伝えられた八極拳。特に無敗を誇った李書文の伝説と、その技術を学んだ拳児の活躍は今なお読者の心に残り、八極拳は現在も日本で最も人気を博す門派となっている。
李書文の開門弟子、霍殿閣の流れを汲む長春八極拳は、李書文が伝えた剛猛なる一撃を堅持し、綺羅星の如き名人達人を生み出し続けた。そんな長春八極拳の歴史と技術を、現地の長老たる何松吉老師に語っていただいた。
特集第2章では、『拳児』の中でその激しい発勁をもって強烈な印象を残した太極拳の一派「(太極)忽雷架」を紹介したい。
『拳児』では既に陳家溝では失伝したとされた忽雷架だが、その隣村「陳新庄」には代々この未曾有の拳法が張家によって伝承されてきている。
本年1月号で詳説された「歴史編」に続く、太極忽雷架の革新的な技術体系を、その正宗、張随勝老師の解説で御紹介いただいた。
今特集最後に登場いただくのは、2020年10月号特集「中国武術の科学」で、蘇昱彰伝八極拳「六大開拳」を解説いただいた「武学マーシャルアーツ・システム(武学MAS)」の數﨑重信師範。
今回は、八卦掌創始者董海川と同じく宮中の護院に勤めた宮宝田から劉雲樵老師、蘇昱彰老師へと伝わった「劉公伝宮式八卦掌」について解説いただいた。
『拳児』で劉月侠(劉雲樵老師がモデル)が拳児へ指導した八卦掌、その実態とは!?
原作・松田隆智師/作画・藤原芳秀先生の『拳児』タッグによる知られざる名作『皇帝武師』。
ラストエンペラーを護った八極拳士たちの激闘を描いた、この幻の読み切り秘話と『拳児2』の最新情報を藤原先生に語っていただいた!
鋼の甲冑をまとったファイターたちによる本格的な戦闘競技「アーマードバトル」。
その日本リーグを主宰するキャッスル・ティンタジェル城主 ジェイ・ノイズ師と、 日本武道をバックボーンに持つ甲冑武士団「黒鋼衆」の頭領 田中克実選手。
鋼の戦場でまみえる騎士と武士が、洋の東西を超えた甲冑バトルの魅力を語り合う!
「健康な戦士は不健康な戦士を圧倒する」とは、 ロシア武術システマの特徴をよく表した標語である。
システマにおける〝健康〟とは、〝リラックスしていること〟と定義できる。 では、なぜ「リラックスが進んだ状態」が強さへとつながるのか。
敵を破壊する前に自分を癒すことを趣旨とした独自の理論と、 マーシャルアーツへと直結した「システマ式コンディショニング法」について、 システマ東京代表・北川貴英師に紹介いただいた。
1990年代から2000年代前半の格闘技界において、〝最強〟の名をほしいままにしていたグレイシー柔術。
しかし、カーリー・グレイシーに学び、日本で初めて アカデミーを開いた平直行師は、グレイシー柔術は 決して〝最強〟の格闘技を目指したものではないと語る。
無意識のシステムを稼働させ、武術の力を引き出す、 グレイシー柔術に秘められた驚異の身体智を本邦初公開!
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。
書籍 松田隆智の拳遊記日本における中国武術の〈パイオニア〉松田隆智師。半世紀の間、武術を求め続ける男の軌跡を1冊に凝縮。
書籍 松田隆智の拳法極意 発勁と基本拳本場中国で真の功夫に触れた松田隆智師が名人・達人たち直伝の拳法極意を徹底解説!
秘伝2020年10月号伝統に培われた自然科学・人体工学の粋(テクノロジー)
秘伝2020年4月号筋力を超えた中国武術の王道─“勁”を極める!秘伝ウェブショップでは、その他、太極拳、八卦掌、内家拳など様々な中国武術関連の書籍をご紹介しております。
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DVD 長春八極拳の全て 第1巻神槍・李書文、霍殿閣の流れを汲む実戦拳のすべてがここに!
DVD 長春八極拳の全て 第2巻 応用変化編伝統の訓練体系・技法、対練、そして実戦における要諦を徹底解説!
DVD 長春八極拳の全て 第3巻 戦闘技法編秘伝とも言うべき散手技法と武器技を徹底紹介・解説!実戦拳の真髄が明らかに!
DVD 六合螳螂拳 剛勁発外、柔勁在内劉雲樵の発勁、張詳三の套路、先人より受け継がれた秘伝の拳法、ここに大成す!
DVD 六合螳螂拳 剛勁発外、柔勁在内中国滄州武術界最高の老師、名人・達人による実戦武術のすべて
DVD 呉氏開門八極拳呉連枝老師による演武で秘伝とされてきた八極拳の真実の姿を紹介
DVD 形意拳の真髄 全2巻李洛能、車毅斉より連なる正統の拳
DVD 心意六合拳 全2巻回族の門外不出武術 心意六合拳秘伝ウェブショップでは、その他、太極拳、八卦掌、蟷螂拳など様々な中国武術のDVDをご紹介しております。
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電子記事 作画・藤原芳秀先生に聞く! 松田隆智先生との 『拳児』制作秘話(秘伝2013年11月号)
電子記事 『松田隆智が語る 四股と震脚 伝統武芸の精華』(秘伝2007年12月号)
電子記事 八極拳奥義・六大開拳の謎(秘伝2012年9月号)月刊秘伝の過去の貴重な記事が登録者限定コンテンツで復活。ここでしか読めない記事が盛りだくさん。
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