武術的身体の可能性を拡げる「感知する力」
身体能力の深淵“感覚”の探求!!
月刊秘伝2025年3月号
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武術の世界でもスポーツの世界でも、あるいは日常生活においても、「感覚」という言葉はごく一般的に使われている。では一体、感覚とは何を指すのだろうか?
辞書的には以下のように定義される。「外界からの光・音・におい・味・寒温・触などの刺激を感じる働きと、それによって起こる意識。視覚・聴覚・嗅覚  ・味覚・触覚や、温覚・冷覚・痛覚など」(goo辞書)。要約すると「身体に備わる五感から感知すること」と言えるが、それに加えて、「意識」という言葉が含まれていることも見逃すことができないポイントである。 本特集では、武術やスポーツにおける達人や第一線で活躍する選手たちに、「感知する」とは、どういうことなのかを伺うとともに、その能力を高めるための稽古法や意識のあり方も示してもらった。
人間の身体能力の可能性を押し拡げる「感覚」を徹底探求する!

発売日:2025年2月14日
定価:1,000円(税込)

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書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。

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第1章 室伏広治(スポーツ庁長官)× 日野晃(日の武道研究所)
身体の多機能性を発言させる! 「静中動」のセンス

感覚の“内観と開放”

2021年の初邂逅以来、交流を温めてきた 斯道の達人二人が「感覚」をテーマに語り尽くす 特集豪華対談がここに開幕! 武道とスポーツ界の両雄は、 身体感覚の捉え方にどのような見解を示すのだろうか。

室伏広治 Murofushi Koji
陸上競技のハンマー投げ選手として2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京、2012年ロンドン五輪に出場。アテネ五輪では陸上・投擲種目でアジア史上初の金メダルに輝いた。現役中の2007年に中京大学大学院体育学研究科にて博士号を取得。2011年同大学スポーツ科学部にて准教授を務める。2014年には東京医科歯科大学にて教授を務めると同時に、スポーツサイエンスセンターのセンター長にも就任した。また、2014年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会スポーツディレクターに選任され、日本オリンピック委員会理事、日本陸上競技連盟理事、世界アンチドーピング機構アスリート委員などを歴任し、2020年10月より現職に就く。

日野晃 Hino Akira
1948年生まれ。中学時代は器械体操で東京五輪の強化選手に選ばれる。ケンカに明け暮れた少年時代を経た後、ジャズ・ドラマーとしてショービジネスの世界で活躍。同時に武道の世界も追求し、空手修行を経た30歳の時、武道に本格的に取り組むための実験道場を大阪に開設。さらに深く追求するため現道場のある和歌山県熊野に移り、自力で道場を建設。実践と独自の武術研究から導き出された上達のメカニズムから年老いても衰えない真の強さを指導している。コンテンポラリー・ダンス界の巨匠、ウィリアム・フォーサイス氏に招かれてのワークショップが恒例化する等、師の元を訪れる人の分野は非常に広範にわたっている。

第2章 真北斐図(太極拳)
手指の感覚を研ぎ澄ます

指先で“感じ”手で“探る”

手には「持つ」という機能のほかに、大きな働きとして「触る」「探る」という機能が備わっている。その感覚を磨くことで、武術の技をかける技量も高めることができる。第2章では、太極拳の師範にして、長年瞑想の指導なども行ってきた真北斐図師に、手指の感覚を段階的に磨き、武術の技に繋げていく稽古法を示してもらった。手指の“センサー機能”を高めるために、目を瞑るところから始めてみよう。

真北斐図 Makita Ayato
1951年、愛媛県生まれ。1978年、瞑想を実践し始める。1979年に太極拳を学び始め、1984年、クンダリーニ・ヨガのグル、ヨギラジ・ヴェタティリ・マハリシよりヨガのイニシエイションを授かる。1988~1995年に上海の偸棟梁老師より陳式太極拳83新架式を学ぶ。2003年から毎年、「六本木ヒルズ朝の太極拳」に講師として出演。コズミックダンス研究所代表。2007年、CSテレビ(248)「いきいきレッスン 簡化24式太極拳」に出演。著書に『ひとりでできる太極拳健康法』『ひとりでできる活静体操健康法』『健康第一 朝の太極拳 DVDでレッスン』『誰にも聞けない太極拳の「なぜ?」』『HOW TO 太極拳のすべて』『太極拳のヒミツ』『じつは最強!武術家のための24式太極拳』『武術の◯△□』『悟りへの道 瞑想のステップ10』などがある。

第3章 川村怜(ブラインドサッカー日本代表)
目では見えないものを“耳で見る”!

いかにして空間を把握するのか?

視覚からの情報がない中で、音を頼りにボールと相手選手・味方選手の位置を捉え、ゴールまでの距離を計る。ブラインドサッカーは、全てのプレーにおいて「感知する能力」が問われるスポーツである。本章では、日本代表の練習を取材するとともに、キャプテンを務める川村怜選手に、どのようにボールを操り、空間を把握しているのか、詳しく聞かせてもらった。聴力を中心とした感覚に基づき、空間をイメージする驚異の能力に迫った。

川村怜 Kawamura Ryo
1989年生まれ。大阪府東大阪市出身。ブラインドサッカー日本代表。アクサ生命保険に勤務、所属チームは品川CC パペレシアル。5歳の頃ぶどう膜炎を発症し、7歳の頃から視力が著しく低下。2007年に進学した筑波技術大学でブラインドサッカーを始める。大学入学当初は弱視であったが、さらに視力の低下が進み、2013年に全盲と診断された。2013年3月、日本代表に初選出。日本選手権MVP2度獲得(2014年、2018年)。2016年1月、日本代表キャプテンに就任し、2021年の東京、2024年のパリでのパラリンピックに出場するなど、日本代表の中心選手として活躍している。

コラム 山口創(桜美林大学リベラルアーツ学群 教授)
“第三の脳”皮膚の「感知する力」

解明が進む身体研究のフロンティア

皮膚が持つ能力については、近年研究が進み、従来から明らかにされていたものに加えて、より多く、より広がりがあることが解明されているという。長年、発達段階での身体接触の影響やタッチケアによる心身への効果などを研究してきた山口創教授に、“第三の脳”とも言える皮膚の「感知する力」についてお聞かせいただいた。

山口創 Yamaguchi Hajime
早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。桜美林大学リベラルアーツ学群教授。臨床発達心理士。子どもの発達過程における身体接触の影響や、タッチケアによる心身への効果などの研究を行っている。主な著書に『子供の「脳」は肌にある』(光文社)、『手の治癒力』(草思社)などがある。

第4章 武田健志(全日本棒相撲普及協会®)
チカラのセンサー

「棒相撲」で競い磨く

武術において、相手の力の強さや方向を察知する感性は門派やジャンルを問わず、非常に重要な能力といえる。本特集のトリを飾る第4章では、誰もが安全に相手の力を“聴ける”身体を獲得可能な新競技「棒相撲」を紹介!創設者である武田健志会長に本競技の魅力と、競い合いを通じて磨かれる武術のセンサーについて語っていただいた!

武田健志 Takeda Kenji
全日本棒相撲普及協会®会長。小用茂夫師範の刀禅の稽古法をベースに、棒相撲を創設。現在は埼玉本部の他に富山・神奈川に支部があり、沖縄・愛知・大阪・千葉などで、全国各地で体験会・講習会などを実施している。2023年、第一回全日本棒相撲道選手権大会を開催(翌年、第二回大会)。空手道士縁会主宰。糸東新流空手道 六段師範。フルコンタクト空手 初段。全国武術交流掛け試し稽古会埼玉支部会長。

【巻頭】宮嶋茂樹(ジャーナリスト・カメラマン)
「有事の人」足り得るための現場の心得と兵法とは⁉︎
不肖・宮嶋の「常在戦場取材道!」

ロシア軍によるウクライナへの侵略、イスラエル軍によるガザへの侵攻、韓国の尹錫悦大統領の騒動、そして能登半島の地震……。
世界ではつねに紛争・騒乱が続いているが、そうした戦地や被災地、極地で写真を撮り続けているのが、「不肖・宮嶋」こと報道カメラマンの宮嶋茂樹氏だ。
人の生死に直面する危険な現場で数々のスクープ写真をものにしてきた宮嶋氏。何が氏を現場に駆り立てたのか。そして死地から生還する秘訣とは何かを訊ねてみた。

【特別企画】高本裕和(柔道・柔術家/高本道場)
合理的に論理的に極めていく
必ず仕留める!柔術技のほどこし方

柔道六段にして、現在、選手としては柔術に専従する形で活躍し、また高本道場において多くの柔道家、柔術家を指導・育成している高本裕和師範。2024年は、3団体(IBJJF、SJJIF、AJP)の世界選手権で優勝し、前人未到の3冠を達成した。
今回は、まさに柔術家として脂の乗り切った状態にある高本師範に、柔術技を確実に極める方法を「腕十字固め」を中心に実演、解説してもらった。必ず極めに至る高本師範の合理的、且つ論理的な技のほどこし方を紹介する。

【特別企画】河野智聖(汀 migiwa) 
心道・動体学のニューメソッド!
「進化トレーニング」が拓く身体と合気の新次元

大整体と武術を融合させた独自の武術身体論を提唱する河野智聖師。
そして今回紹介する「進化トレーニング」は、河野師が新たに開発した画期的メソッドであり、人が本来持っている身体能力を呼び覚ますものだ。
人類の進化の過程に則したシンプルな運動法が、身体と合気の新次元を拓く!

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