「スポーツ式の、つまり西洋式の身の置き方、動き方は、老熟ということを知らない。
老熟を知らない世界に、名人が生まれるはずはないのだ」
(前田英樹『剣の思想』より)
上記、新陰流を長きにわたり修める前田師の言葉の通り、我が国の武術は歴史上、老熟の境地へと至る鍛錬の末に「名人・達人」の名を馳せた数多の武術家を輩出してきた。
本来の武道・武術とは、年を重ねるごとにその術や技が深まっていき、一生涯上達できるものとして、存在してきたはずである。
そんな先人たちが手にした〝円熟のチカラ〟を、本特集では「衰えない力」と称し、加齢とともに減じてしまうと考えられているものとは対極に〝増加〟する、武道・武術伝統の「心技体」の正体に迫ってみたい。
書店では、今月号だけでなく秘伝誌のバックナンバーを始め弊社の書籍、DVDもお取り扱いお取り寄せが可能です。是非書店でお手にとってご覧ください。
武術史に名を刻む「不世出の達人」大東流合気武術・佐川幸義宗範。本特集の始まりとして、弱冠17歳で佐川道場に入門し、年齢を超えた合気之術の玄妙さに導かれるように、今なお、40年以上にわたり、「合気探求への道」を歩む大森悟氏に、佐川伝の鍛錬法と、佐川宗範の並外れたチカラの源について、随想していただいた。
(佐川宗範写真撮影・提供/大森悟)
伝統的ヨガの技術を、最新生体計測器によって検証、データを精査・還元して構築される脳科学ベースの心身強化システムである「サイバーヨガ」。そのシステムの提唱者・辻良史師は、大東流や武神館武道など、実は古武術にも精通されている。特集第2章では、そんな辻師に、伝統的ヨガや武道・格闘技の大きな課題の一つである「呼吸力」についてお話を伺った。
(写真提供/サイバーヨガ研究所)
年齢や力を超えた〝柔〟の中国武術、その代表格と言えるのが太極拳だ。特集第3章では、日本中国武術界の黎明期に表演競技の頂点を極め、その驚異的な功夫で勇名を馳せた太極拳のレジェンド・遠藤靖彦老師が、「皮のボール」とも喩えられる、精妙にして〝不滅〟なる勁の運用を示す!
「強くあるためには、いかに動くべきか?」
飽くなき情熱によって、思考は常にそのことを考え続けている。大きな相手、腕力に勝る相手に対して、どう対応し、どう攻撃を仕掛けるか。格闘家のロッキー川村選手を招き、実戦を想定した〝ガチ〟の武術研究会を開催するのは、美容師であり、且つ長い武術歴を有する野田栄一氏だ。この研究会を通して、状況への対応能力は日々進化している。
加齢に反した、技の斬れを生み出す実戦研究に迫った!
武術の極意を系統的に整理し、教授している隆篤門。柔法宗家・鳥居隆篤師は、長きにわたる修行の末に、「力を抜き切ること」に達した〝やわらびと〟である。
本特集最終章では、生涯「やわらの法則」を学んでいく上で大切となる、自らの「筋体質」を知り心技体を養成することの重要さと、隆篤師が創始した柔法徹化拳について、諸芸の根源「天地の法」とともに紹介いただこう。
(写真提供/柔法総本部)
流鏑馬、茶道、日本髪結い、着物──日本が世界に誇るべき数々の伝統文化を日本人以上に愛し、自ら実践してきたのが、今回ご登場いただく秋乃ろーざさんだ。
カリフォルニア育ちの“大和撫子”が語る、日本文化の尽きせぬ魅力。
そしてその根底に流れる、常に相手のことを思いやる「和の心」とは!?
取材協力◎大日本弓馬会 写真協力◎秋乃ろーざ
選手時代、男子ハンマー投げで世界の頂点に立った室伏広治スポーツ庁長官と、武道的身体操法と感覚を長きに渡り徹底追及してきた日野晃師範との対談が実現。
人間の能力を、身体を通して最大限に引き出す〝超人〟と〝達人〟が、身体操法の奥深さと武道の価値について語り合った。
盧山初雄館長率いる極真空手道連盟 極真館にあって、長年、首席師範を務める岡崎寛人師範は、極真会館盧山道場時代より内弟子として過酷な武道修行を続けた中で、様々な〝達人〟と呼ぶべき武道家たちの薫陶を受ける機会に恵まれ、その度に武の深淵へ一歩ずつ進む事ができたと述懐する。
そんな岡崎師範の貴重な体験を備忘録としてまとめていただくのが本連載。
武の世界を彩る達人たちの教えと、そこに見出された技術の深奥とは、いかなるものなのか!?
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