未だに一見、〝摩訶不思議〟な印象を拭いきれない「中国武術」という存在。
そこには、我々、現代人が慣れ親しんだ西洋科学の視点とは異なる、東洋の伝統に培われた身体観が土台として息づいていることにも、一因があるだろう。
個々の特性を峻別・整理して発展させることが西洋的な科学だとすれば、全体の調和を図る原理を見出し、その延長線上に実質的な成果を求める東洋的な思考は、西洋科学に比して「もう一つの科学」を我々に提示してくれる。
その最たるものの一つが、中国武術の技法や、それを育成するシステムに現れているといえるのではないか?
今を生きる、生体としての人間の可能性を最大限に発揮させるべく、緻密に構築された中国武術の技法伝の数々に、改めて先人たちの叡智を今特集では求めてみたい──。
中国武術に抱く違和感、それはその土台となるのが東洋的な独自の身体観から成り立っていることが大きいだろう。ここでは特集序章として、独特な威力を生み出す中国武術の「発勁」を例に挙げながら、西洋的な視点とは異なるところから構築された中国武術の〝考え方〟を提示する。
至近距離からの強力な打撃で敵を制する「接近短打」の拳術として有名な八極拳。 本章では、李書文・劉雲樵・蘇昱彰の系譜に伝わる八極拳〝三種の訓練システム〟の中から、最終段階である「六大開拳」にて学ぶ実戦の招法(戦略・戦術)について、「武学マーシャルアーツシステム(武学MAS)」を主宰する數﨑信重師範に紹介いただこう!
特集第2章では、中国内家拳の雄として知られた「八卦掌」。〝ただ円周上を歩く〟という一見不可思議な練功法を主体とした、最も伝統的な思想に基づき、近代に編まれた最も新しい拳法だ。北京武術界の武闘派として知られ、先頃逝去された馬傳旭老師に長年拝師した日本八卦掌研究会代表、賀川雅好師範に、そんな八卦掌独特の鍛錬システムをお訊きした。
表演競技の一流選手たちが繰り出す跳躍技。
その疾風のような爆発的機動力と、宙空における身体バランスの制御はまさに超人の域といえる。
特集第三章では、(公社)日本武術太極拳連盟の選手強化委員会ヘッドコーチ・孫建明老師が、華麗な跳躍技を支える「武術の基礎」を語る!
特集第4章では、近代中国武術界の革命児とも言われた達人、王向斎が創始した「意拳」へ焦点を当てる。
中国内家拳によって注目を高めた「内功」。しかし、その曖昧模糊とした概念を「心、意、気」という三合の調和として説き、潜在意識の活用へと昇華させたのが、新時代の中国武術「意拳」だった。人の奥底に眠る能力を引き出す、「意念」の構造を香港武術界の雄、許傑華老師の解説で解き明かす。
欧州と陸続きである中国。 長年の歴史を通して多くの西洋的知識と触れながらも、独自の治法、科学を発展しえたのはなぜなのか。 本特集の最後を飾るコラムとして、古今東西の療術に通じる寄金丈嗣師に、中国武術の理解と鍛錬にも欠かせない、東洋的身体観生成の〝ナゾ〟と「キーポイント」について紹介いただこう!
ジェシカ・ゲリティーさんと弓道との出会いは十数年前。 その時は、偶然通りがかりに見ただけだったが、“癒し”を感じ、忘れられない印象が残ったという。
実際に弓道を体験したのは、2017年。その魅力に惹かれ、弓の世界にどんどんと引き込まれていった。 今では弓道は人生に欠かせないものとなっている。
ニュージーランドから日本に渡り、 タレントとして活躍するジェシカさんが、日本の弓道への溢れんばかりの“愛”を語ってくれた。
現在、最も注目を集める“ジークンドーマスター”石井東吾師父。
ブルース・リー始祖からテッド・ウォン師父へと伝わった直系のジークンドーを、テッド師父・ヒロ渡邊師父より長年にわたり学び継承した石井東吾師父に、 ブルース・リー最晩年の構想を完成させた“JKDファイナルステージ”についてとその「5つの戦術」について直撃した!
単に見た目が美しいだけの演武にとどまらない、 武道としての居合を習得するためには何が必要か?
無外流の一大会派「鵬玉会」を率いる武田鵬玉会長が、 誰もが合理的に「斬れる居合」を学べるよう構築した 形・組太刀・試し斬りを三位一体とする独自の稽古体系に迫る!