柔道は強い! 講道館の創成と総合格闘“術”としての柔道 月刊秘伝2020年9月号
好評発売中!

「柔道は強い!」─本特集では、改めて、そのことに焦点を当てた。
嘉納治五郎が、自らが修めた古流柔術をもとに、他の各流各派も研究し、創意工夫を加えて創り上げていった講道館柔道。そこには当然、永く受け継がれてきた相手を倒すための優れた“術”があった。さらには、「乱取」稽古の確立は、初心者にも“強さ”を獲得することを可能にし、熟練者には技を磨き上げる稽古法として機能した。
本特集では、“柔道の技術”を武器に格闘技の舞台で闘う選手や、柔術仕込みの寝技を駆使して柔道界のトップクラスで活躍する現役柔道家にも登場してもらい、柔道技の格闘“術”としての有用性を具体的に示してもらった。
「総合格闘〝術〟としての柔道」─その強さに迫った!

月刊秘伝2020年9月号
発売日:8月12日
定価:1,000円(税込)

秘伝2020年9月号 
弊社ウェブショップでのご予約注文承り中!

序章 嘉納治五郎の「進取の気性」と講道館柔道の発展

“強くなるための”システムの構築

特集の序章は、嘉納治五郎師範がどういった理念・思考のもと、講道館柔道を創り上げていったのか、また、その理念・思考が講道館柔道の発展にどのように寄与したのかについて見ていこう。新しい技術を導入する「進取の気性」、優れた練習法を定着させるための「システム」の構築、違いを受け入れる「懐の広さ」─柔道が特定の武術家だけでなく、多くの人々が“強くなれる格闘術”として発展していった要因を考察する!

第一章 “柔道”で総合格闘技を制する!

柔道で培われた強みとは?
小見川道大(Neo Judo Academy)

柔道の選手として国際大会で優勝するなど数々の実績を残した小見川道大選手は、その後、主戦場を総合格闘技に移す。しかし、今も小見川選手は“柔道家”としてリングに立ち、戦い続けている。古き柔道の良い部分を復活させて新しく柔道を形づくっていく。それが小見川選手が提唱する「NEO柔道」である。柔道で培った心身が総合格闘技のリングで十二分につかえることを証明し続けてきた小見川選手の技に迫る!

取材対象:小見川道大

第二章 “小よく大を制した”柔道家たち

体格差を覆す技術と戦術
三船久蔵、朝飛速夫、岡野功…

武術や格闘技、特に武器を持たない徒手の闘いにおける「小よく大を制す」の難しさは、厳然としてある。だからこそ、それを実現させることに人々はロマンを感じるのだろう。特集第二章では、実際に「小よく大を制す」を成してきた、講道館柔道黎明期から現代に至るまでの柔道家たちを紹介する。また、その一人である朝飛速夫師範のご子息であり、指導者として少年少女から有力選手までを育ててきた朝飛大師範に、体格的に勝る選手との闘い方について訊かせてもらった。

取材対象:朝飛大

第三章 柔術仕込みの寝技で極める!

スペシャリストの巴投げと関節技を徹底解析!
角田夏実(了徳寺大学職員柔道部)

柔術の技術を取り入れる柔道選手は一定数存在する。しかし、その吸収度合いと活かし方のオリジナリティーにおいて、角田夏実選手の右に出る者はそうはいない。巴投げや関節技を軸に、強豪ひしめく日本の女子軽量級の中で、そして世界の舞台で活躍してきた角田選手。その柔術的ムーブを駆使した“柔道技”の奥義を、本人による解説のもと紐解く。

取材対象:角田夏実
1992年生まれ、千葉県出身。八千代高等学校、東京学芸大学を経て、了德寺大学職員柔道部に入る。2016年、講道館杯全日本体重別選手権大会優勝、グランドスラム・東京優勝。2017年、グランドスラム・パリ2位、全日本選抜体重別選手権大会2位、世界選手権大会(ハンガリー ブダペスト)2位。2018年、全日本選抜体重別選手権大会優勝、第18回アジア大会優勝、グランドスラム大阪2位、ワールドマスターズ・広州優勝。2019年、全日本選抜体重別選手権大会優勝、グランドスラム・ブラジリア3位(ここまで52kg級での戦績)。2019年、講道館杯全日本体重別選手権大会 48kg級優勝、グランドスラム大阪48kg級3位。

コラム 柔道の「乱取」が生み出し、消したもの

乱取の歴史にみる「禁止技」の意味

ここでは、講道館柔道がその稽古の主体に置いたことで、後の「柔道」を規定していった「乱取」の歴史から、そこに“生み出された”、あるいは“消えていった”技術を振り返ることで、改めて「柔道」の存在意義を問い直してみたい。

第四章 「ブラジル柔道の先駆者たち」特別編

木村の前に小野兄弟あり
小野安一&直一

(原文:岡野修平 再構成・執筆:中嶋哲也)
1950年前後、ブラジルの地で不敗を誇ったエリオ・グレイシーに対して、圧倒的な強さを見せつけた木村政彦。“木村の前に木村なく、木村の後に木村なし”と言わしめたこの不世出の柔道王よりも前に、グレイシー一族を驚嘆させた柔道家たちがいた。シリーズ連載「海を渡ったサムライ ブラジル柔道の先駆者たち」第2回は特別編として、ブラジルの地で柔道の真価を遺憾なく発揮した「小野安一・直一」兄弟を御紹介する。その活躍は今特集を締め括るに相応しい、柔道の“強さの存在証明”に他ならない。

巻頭インタビュー 今月の「秘伝なヒト!」

闘う経済学者 松原隆一郎教授に訊く!
「ポスト・コロナ」の時代の武道の新構造

昨今のコロナ禍において、武道・格闘技を取り巻く環境も、劇的な変化を遂げざるを得なくなっている。緊急事態宣言の発令、ロックダウン下の稽古、今後の武道・格闘技のあり方まで、武道・経済学の双方に通ずる松原隆一郎教授にお尋ねした。

取材対象:松原隆一郎
1956年兵庫県神戸市生まれ。東京大学工学部都市工学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程修了。 東京大学大学院総合文化研究科教授を経て、2018年4月より放送大学教授、東京大学名誉教授。専攻は社会経済学、経済思想。また、武道や格闘技、プロレスにも造詣が深く、以前には東京大学柔道部部長にも就任。現在、 国際空道連盟大道塾四段。同塾ビジネスマンクラス師範代。柔道三段。著書に『格闘技としての同時代論争』『さまよえる理想主義』『武道を生きる』『荘直温伝』など。

特別企画 接近戦で紐解く沖縄空手の“解”

沖縄空手は首里手も泊手も那覇手も、全てが“接近戦”!!

『沖縄古伝剛柔流拳法で解く! 空手の不思議』で好評を博した、沖縄空手道拳法会静岡県支部「剛琉館」の佐藤哲治師範が、再び、沖縄空手の深奥に迫る! 特長を異にするとみられがちな沖縄の首里手・泊手系の型と、那覇手の型。この両者をつなぐものとは何か? 「接近戦」というキーワードで解かれる、沖縄空手の実戦技法を紐解く!

文:佐藤哲治

特別企画 「真剣」の性能を最大限に引き出す! 武士の“骨遣い”

斬法総合研究所を主宰する後藤健太氏が斬るという刀法の本質を体系化した「真剣斬法」。「基本、抜刀術、剣術、居合、試斬」という5つの技法群から、真剣(=心剣)を身体化する武士の実学と斬る要訣(股関節、肩関節=骨遣い)を学ぶ!

文:後藤健太

関連商品

秘伝2020年9月号 
弊社ウェブショップでのご予約注文承り中!