本書は、黒田鉄山氏による技への飽くなき追究が綴られた「気剣体一致」シリーズの完結編。ここでは「居合術編」と「棒術編」が収録されている。
「居合は剣術中の精髄である」とは、鉄山氏の祖父、黒田泰治氏の言葉だ。
座った状態から、すでに立っている剣術者に対抗するという前提を鑑みれば、どんなに急いで立ち上がろうとしたところで、かなうはずがない事は明らか。普通の動きでは。
しかし、そこに「状況逆転」を起こす奇跡のような身法が存在する。それが居合術において追究されているものなのだ。
黒田鉄山氏は言わずと知れた「見えない技」の体現者であるが、これは単に「動きが速い」という事にとどまらず、言わば「次元の違う動き」。「次元の違う動き」は、絶対不利条件からの「状況逆転」を実現し、これこそが抜かずしてすでに抜いていると同等の状況を創る、すなわち「鞘の内」の領域なのだ。
棒術はまた違った高次性を呈している。黒田道場における「棒」とは単に武器として使うのではなく、体捌きの礎として扱われるゆえに、限りなく難度の高いものだという。
シリーズ完結編にふさわしい、"とてつもない高み"が本書には収録されている。
本書は、2004年に初版発行された『気剣体一致の「極」』の新装改訂版だが、先に新装改訂版として発行された『気剣体一致の「創」』『気剣体一致の「改」』と同様、ほぼ全面的に黒田氏によって書き改められている。それは、この11年間における黒田氏の進化、技への理解の深まりの顕われに他ならない。
現在の黒田氏が到達した"とてつもない高み"、それが本書なのだ。
詳細はこちら→『気剣体一致の「極」〈新装改訂版〉』