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功夫百花繚乱!「中国伝統武術&ジュニアカンフーフェスティバル」大会レポート

ジュニアとシニアの垣根を超えたカンフーの祭典、ここに開幕!

 去る3月24日(日)、東京都江戸川区総合スポーツセンターにて、公益社団法人日本武術太極拳連盟主催による「中国伝統武術&ジュニアカンフーフェスティバル」が開催された。本大会は「ジュニアカンフー」と「伝統武術」の二部門にて構成されており、ジュニアからシニアまで、幅広い層の武術愛好者たちによる見応えのある演武が多数披露される盛大なものとなった。

弐虎壱カンフークラブ.jpg 開会式の後、まずはジュニアカンフーの部から表演がスタート。先陣を切るのは「弐虎壱カンフークラブ」だ。少年少女たちによるのびやかな長拳の集体表演から始まり、棍や刀を用いた演武へと移行。そして最後は、再び参加メンバー全員の長拳で決める。本大会の幕開けにふさわしい活気溢れる表演であった。

小平・武蔵野合同チーム.jpg これを皮切りに、続々と見応えのある演武が続いてゆく。「小平・武蔵野合同チーム」は、剣を用いた演武が冴える。可憐な二人の少女が軽やかに身を躍らせながら振るう剣の舞は、凛々しくも美しい。「TFA長拳隊」の子供たちの刀と長拳もレベルが高く、最後は組体操のように見事なコンビネーションで決めた。「リトルカンフードラゴンズ」の表演服の色彩を活かした集体長拳はとても鮮やかで、単体では出せない集体ならではの表現というものを魅せつけた。そして、ジュニアカンフーの部のトリは「江戸川区太極拳連盟チーム」。少年少女たちが長拳の表演で懸命に拳脚を振るう姿は、ジュニアカンフーの魅力と価値を感じさせてくれるものだった。
TFA長拳隊.jpgリトルカンフードラゴンズ.jpg江戸川区武術太極拳連盟チーム.jpg

杉並区太極拳連盟.jpg 小休止を挟み、大会は後半の伝統武術の部へと続く。まずは「杉並区太極拳連盟」の表演からだ。シニアの演武者たちによる深みのある扇の集体から入り、伝統武術らしく厳かな流れで行くのかと思いきや、コメディタッチの演出も交えるなど遊び心のある演武で会場を和ませる。続く「東京中国武術会」は演武者個々の技量が非常に高く、その鍛錬の深さを一目で分からせた。中でも双刀の演武は、まるで旋風のごとく連続で空中回転する見事なものだった。
東京中国武術会.jpg ジュニアカンフーの部でも登場した「TFA長拳隊」からは、今度は年長組が舞台に立ち、こちらもハイレベルの表演を披露した。ジュニアカンフーの部を含め、このチームの最大の特徴は、やはり演出の巧さだろう。特に集体における魅せ方は際立っており、エンターテイメントとしても一流の内容を備えていた。
TFA長拳隊2.jpg 「輪(Rin)」と「東鵬武術研修会」は太極拳と並ぶ三大内家拳の一角、八卦掌を主軸とした柔らかい演武を行い、その代表的な兵器である鴛鴦鉞も使用した。こういった表演の場は長拳や南拳などの外家拳が主役で、内家拳は太極拳以外は出番がないかのように思う方も多いかもしれないが、優美で特徴的な円の歩法の八卦掌もまた人気拳種の一つとなっている。
輪.jpg 伝統武術の部のラスト表演は、こちらもジュニアカンフーの部と同時出場の「弐虎壱カンフークラブ」。長拳や南拳といった徒手武術に加え、双剣や双錐、三節棍などが次々と飛び出す。本来ならば暗器(隠し武器)に分類される峨嵋刺も、手の中で高速回転すれば一気に見映えするようになるのだから面白い。各チームの演武者たちがそれぞれ素晴らしい技を見せ、まさに伝統武術の面目躍如といった感であった。
東鵬武術研修会.jpg弐虎壱カンフークラブ2.jpg

選手5.jpg そして、本大会の最後を飾るのは日本連盟強化選手による特別演武。彼らが舞台に立っただけで会場の空気は一変し、観客たちが固唾を飲んで見守る中、演武が始まった。まずは長拳。本大会で最も多く演武されてきた拳種ではあるが、拳脚の速さ、跳躍の高さ、架式の正確さ──選手たちが演じるそれは、全くの別次元だった。
選手2.jpg 長拳に続く太極拳は、柔らかさの中にも強靭な芯を感じさせ、手に持つ扇は優雅でありつながらも、それが武器であることを忘れさせない。最後は幾つもの刀と剣が舞い踊る集体表演。「武器は手の延長」という中国武術の格言通り、長拳の力がそのまま伝達された刀と剣を縦横無尽に振るい、全員で切っ先を合わせた直後、一気に空間を斬り下ろしてラストの決めとなった。こうして万雷の拍手と共に「中国伝統武術&ジュニアカンフーフェスティバル」は幕を下ろした。
選手1.jpg選手3.jpg

 本大会は競技ではないため、順位はつけず、参加チーム全員にそれぞれ相応しい賞が贈られた。選手たちの珠玉の演武は、互いに頂点を競い合う中で磨かれたからこそ生まれたものであることに間違いない。しかし、本大会のように老いも若きも関係なく、日頃の練功の成果を人前で発表できる場を確保することは、中国武術の裾野を広げる上でも非常に重要な意義を持っている。表演競技として、伝統武術として、日本の中国武術の大いなる発展に今後も注目してゆきたい。

期日◎2019年3月24日(日)
場所◎東京都江戸川区総合スポーツセンター
主催/写真協力◎公益社団法人 日本武術太極拳連盟


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