※対談は「二人の出会い」についてから始まり、その後、「100パーセントの心を作る」という話題に展開していった。
--今回の対談の取り合わせも、なかなか異色になりましたが、お二人の出会いというのは?
成瀬 ちょうど十年ぐらい前だったかな、小比類巻さんが、新格闘術・黒崎道場の黒崎健時先生のところで学んでいたとき、黒崎先生に連れられて、ボクの道場にやってきたのが最初だったね。
小比類巻 はい。たしか、黒崎先生が「逆立ちや片足立ちを何時間も続けられるヨーガの先生がいるから会いに行くぞ」と言われて、そのお供をしてお邪魔しました。
成瀬 でもそのときは黒崎先生のお弟子さんとして、脇で控えているような感じで、そのときから親しくなったわけではなかったんだよね。
小比類巻 そうでした。のちに、前田日明さんに改めてご紹介いただいて、それから親しくさせていただくようになったんです。
でも、成瀬先生には、初対面の時から「タダモノじゃない」オーラを感じていましたよ。
成瀬 陸上の100メートル競争で、ゴールと同時にゴールライン上にピタッと止まってしまう選手なんていないでしょ。120、130メートル地点まで全力で駆け抜けていくつもりで走ったときに、はじめて9秒幾つなんてタイムが出るわけだよね。100メートル走なんだから、100メートル地点が100パーセントなんだけど、それでも100メートルのもっと先までビューっと突っ走っていかないと、絶対にいいタイムなんて出ないでしょ。小比類巻さんの言う100パーセントには、そのゴールから先の20〜30メートル分も確実に含まれているんだろうね。
小比類巻 100パーセントって難しいですよね。自分たちの場合、試合前に減量があります。普段の体重は82〜83キロあるんですが、それを1ヶ月で70.0キロまで落とすんです。いつも72〜73キロまでは順調に落ちるんですが、そこから先は厳しくて......。計量前日に70.5キロに持っていって、当日、70.0キロで計量クリア。そしたらまず水を3リットルぐらい飲んで、ご飯も食べると、夜寝る前には78キロぐらいに戻っています。
成瀬 たった1日で8キロのリバウンド、それはすごい。
小比類巻 でも翌日、試合前にも汗をかくので、リングに上がるときはだいたい73〜74キロで、その体重が自分にとって一番いい状態、ベストコンディションでしたね。
試合前日、つまり計量の日の夜、お腹も満たされてベッドに入って電気を消すと、大きな音が聞こえてきて、眠れないんですよ。
成瀬 わかった。心臓の音だ。
小比類巻 ええ。ドックン、ドックンという音が気になって、ちっとも眠れないんですよ。
成瀬 やっぱり緊張するものなんだ。
小比類巻 緊張しますね。そんな心の状態のままではまずいので、落ち着いた100パーセントの心を取り戻さなければならないわけです。そこで、「落ち着け、明日は今までやってきたことを出すだけでいいんだ」と言い聞かせるわけです。そうすると、自分を支えてきてくれた、トレーナーやスタッフ、仲間たち、家族や友人のことが頭に浮かんできて、彼らに感謝の気持ちを伝えるたくなるんですよ。そこで一度ベッドから出て、電話やメールで感謝するんです。すると、心が安定を取り戻して、120パーセントの心を作って試合に臨むことができるんです。その状態でリングに上がれた試合は、ベルトを獲れてチャンピオンになれましたね。
※ここでは対談のごく一部を掲載しています。月刊秘伝2014年7月号に詳細が掲載されていますので、そちらも是非ご覧下さい。
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