伝統に培われた自然科学・人体工学の粋 東洋文化に育まれた
中国武術の科学
月刊秘伝2020年10月号
好評発売中!

未だに一見、〝摩訶不思議〟な印象を拭いきれない「中国武術」という存在。
そこには、我々、現代人が慣れ親しんだ西洋科学の視点とは異なる、東洋の伝統に培われた身体観が土台として息づいていることにも、一因があるだろう。
個々の特性を峻別・整理して発展させることが西洋的な科学だとすれば、全体の調和を図る原理を見出し、その延長線上に実質的な成果を求める東洋的な思考は、西洋科学に比して「もう一つの科学」を我々に提示してくれる。
その最たるものの一つが、中国武術の技法や、それを育成するシステムに現れているといえるのではないか?
今を生きる、生体としての人間の可能性を最大限に発揮させるべく、緻密に構築された中国武術の技法伝の数々に、改めて先人たちの叡智を今特集では求めてみたい──。

月刊秘伝2020年10月号
発売日:9月14日
定価:1,000円(税込)

秘伝2020年10月号 
好評発売中!

序章 主観的身体観から生み出された中国武術の科学

中国武術の土台となる、東洋的な人間観察の“科学”

中国武術に抱く違和感、それはその土台となるのが東洋的な独自の身体観から成り立っていることが大きいだろう。ここでは特集序章として、独特な威力を生み出す中国武術の「発勁」を例に挙げながら、西洋的な視点とは異なるところから構築された中国武術の〝考え方〟を提示する。

第一章 蘇昱彰伝八極拳 「六大開拳」のパラダイム!

秘伝の套路に内蔵された「招法」
八極拳士の“戦闘システム”を解明!

至近距離からの強力な打撃で敵を制する「接近短打」の拳術として有名な八極拳。 本章では、李書文・劉雲樵・蘇昱彰の系譜に伝わる八極拳〝三種の訓練システム〟の中から、最終段階である「六大開拳」にて学ぶ実戦の招法(戦略・戦術)について、「武学マーシャルアーツシステム(武学MAS)」を主宰する數﨑信重師範に紹介いただこう!

數﨑信重 Kazusaki Nobushige 
武学Martial Arts System
1976年神戸生まれ。高校2年生で「八極螳螂武藝總舘兵庫支部」に入会、兵庫支部が「八極劈掛拳藝館」に移行したため「八極劈掛拳藝館」に入会。その後、拳芸会神戸支部→武学推拡拳社関西武館の指導員として活動、その間も師の指導と助言をいただきながら自らの練習に励む。この時期に健康運動実践指導者の資格を取得(H.19~H.24)、指導の幅を広げる。また武術の幅を拡げるため『フィリピン武術の全貌』の著者大嶋良介氏(フジアーニスクラブ主宰)より年に数回アーニスの指導を受けている。2016年、武学推拡拳社関西武館の指導員退任を機に、それまでに学んだ「武学」を推拡するため「武学マーシャルアーツシステム」の構想を師に相談、認定を受ける。現在、プライベートレッスン、オンラインレッスン、セミナーの開催、セミナー依頼の受付をしながら「武学マーシャルアーツシステム」の師範として悩み多き日を楽しんでいる。

第二章 梁派八卦掌 身体の根幹と先端をつなぐ「走圏」の機能性

伝統の自然法則から自在な身体を得る八卦掌

特集第2章では、中国内家拳の雄として知られた「八卦掌」。〝ただ円周上を歩く〟という一見不可思議な練功法を主体とした、最も伝統的な思想に基づき、近代に編まれた最も新しい拳法だ。北京武術界の武闘派として知られ、先頃逝去された馬傳旭老師に長年拝師した日本八卦掌研究会代表、賀川雅好師範に、そんな八卦掌独特の鍛錬システムをお訊きした。

賀川雅好 Kagawa Masayoshi 
日本八卦掌研究会
1967年生まれ、茨城県出身。鍼灸師。中学時代より中国武術の修行を始める。1989年、3年間の北京留学中、武闘派として知られた馬傳旭老師に拝師し、主に八卦掌を学んで頭角を現す。その間、様々に経験を積む。東洋医学、哲学にも造詣が深く、専門書への執筆多数。1993年、李子鳴、馬傳旭両先生の要請により日本八卦掌研究会を設立。現在、さいたま市で鍼灸治療院を経営する傍ら、東京、埼玉、千葉など各地で後進を指導し、現在に至る。日本八卦掌研究会代表兼会長代行兼副会長、北京八卦掌協会教練兼日本分会会長。

第三章 武術太極拳 「跳躍技」を支える武術の基礎

武術太極拳「跳躍技」の秘密

表演競技の一流選手たちが繰り出す跳躍技。
その疾風のような爆発的機動力と、宙空における身体バランスの制御はまさに超人の域といえる。
特集第三章では、(公社)日本武術太極拳連盟の選手強化委員会ヘッドコーチ・孫建明老師が、華麗な跳躍技を支える「武術の基礎」を語る!

孫 建明 Sun Jianming 
(公社)日本武術太極拳連盟
(公社)日本武術太極拳連盟ヘッドコーチ。中国武術八段。プロとして北京武術チームに入隊し、呉彬老師、李俊峰老師に師事。多くのアクション映画にも出演。1986年、東京太極拳協会及び日中友好協会の要請により来日。日本代表チームのコーチとして、国際大会でチームを引率し、メダリストを多数輩出する。
写真/©OLI HAU OLI Photo Office Co., Ltd.

第四章 許式意拳 意拳が解き明かした「意念」の構造

達人たちが辿り着いた身体と心の関係性

特集第4章では、近代中国武術界の革命児とも言われた達人、王向斎が創始した「意拳」へ焦点を当てる。
中国内家拳によって注目を高めた「内功」。しかし、その曖昧模糊とした概念を「心、意、気」という三合の調和として説き、潜在意識の活用へと昇華させたのが、新時代の中国武術「意拳」だった。人の奥底に眠る能力を引き出す、「意念」の構造を香港武術界の雄、許傑華老師の解説で解き明かす。

許 傑華 Hui Kit wah 
許式意拳研究会
1958年生まれ、香港出身。幼少より各種武術・武道を学習。英国Dundee大学大学院にてコンピューター科学を専攻。韓星橋より意拳・形意拳・八卦掌、盧桂耀より六合八法、陸漢初より陸派楊式太極拳を学習し、各種内家拳や現代格闘技の技術を科学的見地から分析した指導を提唱している。香港で指導する傍ら、日本、英国、仏国にも指導に赴く。

特集コラム 西洋の構造と東洋の機能

東洋医学的見地からみた中国武術の身体観とは!?

欧州と陸続きである中国。 長年の歴史を通して多くの西洋的知識と触れながらも、独自の治法、科学を発展しえたのはなぜなのか。 本特集の最後を飾るコラムとして、古今東西の療術に通じる寄金丈嗣師に、中国武術の理解と鍛錬にも欠かせない、東洋的身体観生成の〝ナゾ〟と「キーポイント」について紹介いただこう!

寄金丈嗣 Yorikane Taketsugu 
六然社
1963年東京都生まれ。明治大学卒。東京衛生学園専門学校卒。87年鍼灸師・按摩マッサージ指圧師の資格を取得。鍼灸を柱に据えた伝統学術の出版企画会社・六然社主宰、ジャーナリスト。高校時代よりフリーライター・編集者として活動。特に伝統的な職人技や、民間医療等の現場調査をライフワークとしている。幻の鍼灸雑誌『TAO鍼灸療法』編集発行人、『経絡治療』(145号~160号)編集人等を歴任。一方、中国武術、古武術にも造詣が深い(現在、武壇国術推広中心所属)。いくつかの鍼灸専門学校等で非常勤講師を務める傍ら、主にプロ向けの講座や勉強会をプロデュース、伝統的身体技法や健康法をテーマに講演、市民サークルでの講義等、精力的に活動している。主な著作に『ツボに訊け!鍼灸の底力』(筑摩書房)、など。

巻頭インタビュー 今月の「秘伝なヒト!」

ニュージーランド出身のタレント&弓道家
ジェシカ・ゲリティー“弓道愛”を語る!
弓の世界に魅せられて

ジェシカ・ゲリティーさんと弓道との出会いは十数年前。 その時は、偶然通りがかりに見ただけだったが、“癒し”を感じ、忘れられない印象が残ったという。
実際に弓道を体験したのは、2017年。その魅力に惹かれ、弓の世界にどんどんと引き込まれていった。 今では弓道は人生に欠かせないものとなっている。
ニュージーランドから日本に渡り、 タレントとして活躍するジェシカさんが、日本の弓道への溢れんばかりの“愛”を語ってくれた。

特別企画 “ジークンドー・マスター”石井東吾

JKDファイナルステージ「5つの戦術」
FIVE WAYS OF ATTACK

現在、最も注目を集める“ジークンドーマスター”石井東吾師父。
ブルース・リー始祖からテッド・ウォン師父へと伝わった直系のジークンドーを、テッド師父・ヒロ渡邊師父より長年にわたり学び継承した石井東吾師父に、 ブルース・リー最晩年の構想を完成させた“JKDファイナルステージ”についてとその「5つの戦術」について直撃した!

特別企画 国際居合道連盟鵬玉会 武田鵬玉

形・組太刀・試し斬りの三位一体で追求する
斬れる居合

単に見た目が美しいだけの演武にとどまらない、 武道としての居合を習得するためには何が必要か?
無外流の一大会派「鵬玉会」を率いる武田鵬玉会長が、 誰もが合理的に「斬れる居合」を学べるよう構築した 形・組太刀・試し斬りを三位一体とする独自の稽古体系に迫る!

中国武術関連 書籍&DVD

今月の最新刊・オススメ商品

秘伝2020年10月号 
好評発売中!